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超能力編ー4日目・朝(夢と会話)
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次の日、広間に行く途中で夢さんとばったり一緒になった。
「あ…知真くん。おはよ…」
「おはようございます。夢さん眠そうですね。二重まぶたの幅が2倍くらいになってますよ」
「うーん眠くて…。知真くん、年上の人にちゃんと敬語使うんだね。こんな非常事態でも」
「えっと…やめたほうがいいですか?」
「別になんでもいいんじゃない?ほあーあ…」
夢さんこそ、こんな非日常空間でずっと眠そうにしてられるのはすごいと思う。
特に話すこともなくて、しばらく無言で歩いていたけど、やがて夢さんが口を開いた。
「知真くんって、自分の能力を使うことに抵抗ないの?」
夢さんは半目で僕を見ている。
「えっと、自然と心の声が聞こえているって感じだから、特に抵抗とかは…」
「そうじゃなくて、今の話だよ。今は意識して相手を選んで能力を使っているでしょ?知りたくないことや、知っちゃいけないことが伝わってくることもあるんじゃないの?それでも使うんだ?」
「えっと……」
愛子さんが死んだ時のこと、広衣さんの妄想、隼人さんの処刑…
色々な人の思考が頭をよぎった。
「…夢さんは、何を言いたいんですか?」
「別に?知真くんは大変だなぁって思っただけ。役に立つ情報が得られる確証はないのに、嫌な思いをしたりされたりするんでしょ?ハイリスクローリターンってやつよね」
「まあ…そうですけど…」
「ふわあ、しゃべりすぎたわ。眠くなっちゃう」
立ち尽くす僕を置いて、夢さんはゆっくりと広間へ歩いていった。
僕の能力は、使わなきゃ意味がない。
大事な情報が得られる可能性があるんだから。
聞きたくないことが聞こえてくることなんて、今までにもよくあったことだ。僕は慣れてる。
何より、僕には尚ちゃんがいる。嘘をつかなくて、優しくて、僕のことを大切に想ってくれる、心の綺麗な尚ちゃん。
尚ちゃんがいれば、僕はなんだってできる。
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