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超能力編ー4日目・昼(死体発見)
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夢さんと一緒に広間に入ると、先にいた尚ちゃんと目が合った。
「あ、尚ちゃん!」
思わず笑みがこぼれる。手を振ると、尚ちゃんも振り返してくれた。そして手招きされた。
「知真、体は大丈夫?倒れた後会えなかったから…」
とことこ歩いて行って隣に立つと、尚ちゃんは心配そうに僕の顔を覗き込んだ。
「大丈夫だよ。もう元気」
「そう?ごめんね、ずっとそばにいてあげられなくて」
思いのほか尚ちゃんがしょげていて、僕はなんだか嬉しくなってしまった。
「あっいたた…頭痛いかも…」
「ええっ!どうしよう!ゆっくり、ゆっくりそこに寝て…」
「えへへ。嘘だよ」
「か、知真ー!!」
頭をぐりぐりされた。楽しい。
そうこうしているうちに人がどんどん集まってきて、真ん中にいつもの顔が浮かび上がった。
「今日はこれで全員です。話し合いを始めてください」
誰がいなくなったんだろう?
周りの人を見回していたら、ある人の顔に釘付けになった。
「………君、誰?」
全員の視線がその人に集まっている。
「あはは、びっくりするよね。僕、操士だよ」
そう言って笑った操士くんは、なんというか、いつもより…
「幼い」
「そう!知真くん大正解!」
操士くんは、10歳くらいの見た目になっていた。
声も高くなっているし、完全に10歳に戻ってしまったようだ。
「いやー、これ、綾乃さんにやられちゃってさ。今はいいけど、元の生活に戻った時困っちゃうよね」
「綾乃さん…?」
何か嫌な予感がして綾乃さんの姿を探してみたけど、どこにもいない。
「綾乃さんはいないよ。死んじゃったから」
「え…」
「もしかして、操士くんが殺したの?」
まもりちゃんが怒ったように操士くんに迫った。
「うん!あー、楽しかったよ、超能力対決!たぶん綾乃さん、年齢を生まれる前まで戻そうとしてきたんだよね。受精卵まで戻ったら、証拠も残らないから便利だよね。思ったんだけど、昨日透さんの死体がなかったのも、綾乃さんが消したからなんじゃないかなー」
「ひどいよ操士くん!人を殺すなんて」
「ひどいのは綾乃さんの方だよー。あっちが僕を襲いにきたんだから。せーとーぼーえいってやつだよね!」
「綾乃さんは、操られて仕方なく襲ったんだよ。それを殺すことないじゃん!」
「じゃあ何?僕はどうすればよかったの?まりもは僕に死んでほしいわけ?薄情な幼なじみだわー」
「そ、そうじゃないけど…でもー!」
「まもりちゃん、落ち着いて。操士も、変なこと言わないで」
工士くんが2人の間に入った。
「工士くん…」
まもりちゃんが悔しそうに黙った。
「僕たちで争っても仕方ないよ。こんなゲームさせてる人が一番悪いんだから。それより今は、この状況から抜け出すことを考えよう?」
「うん…」
工士くんがそう言ってまもりちゃんの手を握ると、まもりちゃんは赤くなってうつむき、反対に操士くんはつまらなさそうな顔で横を向いた。
「工士のくせに、偉そうなこと言って」
「ご、ごめん。でも操士も、綾乃さんとのこと、そんなに気にしないで…」
「気にしてないし。僕はバトルに勝って嬉しい気持ちしかないから」
「そ、そうだよね。ごめん」
…この3人、どういう関係なんだろう?
まもりちゃんが工士くんを好きなのは見ていて伝わるけど、操士くんと工士くんはよくわからないな。
心が全部見えたときは、関係性が気になるなんてことなかったから、ちょっと面白いかも。
「…とりあえず、死体を見に行くのはどう?もしかしたら、操士くんが嘘をついているかもしれないわ」
広衣さんが冷静にそう言った。
操士くんの部屋に入ると、早速綾乃さんの死体が目に入った。高所から落下したかのように、地面に叩きつけられている。
思わず息を飲むと、尚ちゃんが僕を安心させるかのように手を握ってくれた。
「これ…君がやったの?」
尚ちゃんが操士くんに尋ねる。
「そーだよ。どうやってやったか…わかるよね?広衣さん?」
「…わたし?」
操士くんは挑戦的な目で広衣さんを見ている。
「広衣さんが本当にサイコメトリーを使えるなら、綾乃さんを触っただけで、僕が綾乃さんを殺した光景が見えるんでしょ?」
「…わたしを疑っているの?」
操士くんは、広衣さんを試そうとしているんだ。広衣さんの能力が、本当にサイコメトリーなのか。
広衣さんは呆れたようにため息をついた。
「いいわよ。見せてあげる」
広衣さんは手袋を外し、綾乃さんの体に触れた。
「………操士くんの顔が、下の方に見えるわ。綾乃さんは天井にいるのかしら。地面がぐっと近くなって…それ以上は見られなかった」
「うーん、正解だよ!残念だけど」
操士くんはにこにこしながら言った。
「僕は綾乃さんを天井にはりつけて、そこから全力で綾乃さんを落としたんだ!」
「痛そう…」
強矢さんがぼそっとつぶやいた。
「サイコキネシスって最強だよね!相手の自由を奪えちゃうんだもん!」
操士くんが得意げにそう言った。
「僕の力は工士より強いし、この中で僕が一番強いってこと。綾乃さんも襲う相手間違えてるよね。あっでもでも、みんな遠慮せずどんどん襲いに来ていいからね!」
「うるさいやつだな…」
夢さんが不機嫌そうに言った。
「その理論でいくと、少なくともあんたよりわたしのが強い」
「えー!夢さん、何の能力持ってるんだっけ?」
「誰でも2秒で眠らせる子守唄。あんたも寝たら能力なんて使えっこないよ」
「戦ってみなきゃわからないよ?今からやってみる?」
操士くんはにやりと笑った。
「……嫌よ、めんどくさい。しゃべるんじゃなかったわ」
夢さんはひときわ大きなあくびをした。
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