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超能力編ー4日目・昼(話し合いと処刑)
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<話し合いスタート>
残り人数 8人
内藤知真(テレパシー)
水川尚武(水つかい)
二木操士(サイコキネシス)
二木工士(サイコキネシス)
風見強矢(風つかい→ほんとは植物つかい)
灯野まもり(パイロキネシス)
加古広衣(サイコメトリー)
蛭間夢(催眠術)
×石動愛子(石化)
×日吉覚(幻覚)
×三木透(?)
×相馬隼人(瞬間移動)
×若草綾乃(年齢操作)
尚武「あと8人…けっこう減っちゃったね」
尚ちゃん、悲しそうだ。本当に優しくていい子だ。
まもり「人狼はあと何人残ってるんだろうねー?同数になったら人狼の勝ちで、わたしたちは殺されちゃうんでしょ。怖い!」
強矢「大丈夫。まもりちゃんは俺が守ってあげるって」
まもり「………」
強矢「えっついに無視?」
まもり「ねえ工士くん、どう思う?」
工士「ぼっ、僕?えっと、とりあえず綾乃さんは人狼で、操士に殺されちゃったんだよね。てことは、最低あと2人残ってるんじゃないかな」
操士「僕が本当のことを言ってればね?」
工士「…え?」
操士「ほんとは僕が人狼で、綾乃さんの死体を自分の部屋に移動させたのかもよ?襲われたと見せかけるために」
工士「なっ…なんでそんなこと言うの?」
操士「工士の意見にはとりあえず反論しときたいからね!」
工士「そ、そっか…なんかごめん…」
まもり「なんで工士くんが謝るの!」
工士「ご、ごめんまもりちゃん…」
まもり「いや、だからぁ」
操士「ところでさー、僕昨日思い出しちゃったんだよね。綾乃さんを殺してる最中に」
そう言って操士くんは風見さんを指さした。
操士「風見さんって犯罪者でしょ」
強矢「…は」
広衣「…それは、わたしも気づいていたけれど。でもゲームに関係あることかしら?」
操士「えー、だって、怪しいじゃん!殺人犯って、人の命なんてどうとも思ってないんでしょー?」
広衣「あなたには言われたくないでしょうけど…」
まもり「…殺人犯?風見さんが?」
まもりちゃんがぽかんとした顔をしている。
強矢「…違うよまもりちゃん」
まもり「えっと…」
まもりちゃんは操士くんを見た。
操士「まりもも気をつけた方がいいよ!風見さんは、強姦殺人の疑いで逮捕されてたんだよ。ニュースで見た時と名字が変わってるけど、偽名でも使ってるの?」
強矢「俺はやってない」
操士「倫理観の狂ってる殺人犯なんて、いかにも人狼に選ばれてそうだよね。殺したときって自分の能力を使ったの?」
強矢「俺はやってない」
まもり「風見さん……」
操士「今思うと、被害者の女の子、まりもに似てた気がするな〜」
まもり「えっ!」
まもりちゃんはとっさに操士くんの後ろに隠れた。
操士「やだなー、盾にするなら工士でしょ」
どうしよう。なんだか風見さんが疑われてる。
尚武「知真、どうしたの?」
知真「…え?」
全員の視線が僕に集まった。
尚武「焦ったような顔してるから、どうかしたのかなって思って」
知真「あー、えっと…」
上手く、上手く言わなきゃ。
知真「実は昨日、風見さんの心を読んだんだ」
風見「え…」
知真「それで、その、殺人のこととかはよくわかんないんだけど、風見さんは人狼じゃないから、処刑はしない方がいいと思うよ」
広衣「どうしてそう言い切れるのかしら」
知真「えっ!」
広衣「知真くん、たくさんの人の心を読んでるのに、人狼じゃないって断言したのは初めてよね」
知真「えーっと…そうですね」
まもり「…あっ、わかったー!」
まもりちゃんが元気に手を挙げた。
まもり「風見さんが植物の能力を使ったんじゃない?」
知真「えっ!いや、そういうわけじゃ…」
まもり「襲われてもないのに断言できるって、それしかないじゃん。ねえ、そうなんでしょ」
工士「ま、まもりちゃん?あの…ちょっと静かに…」
まもり「えー、どうして?」
工士「植物の能力の人は、他の人を守ることができるでしょ?それが誰かバレたら、人狼に命を狙われて…」
まもり「いいじゃん別に」
工士「え…?」
まもり「風見さんなんて、死んじゃえばいいよ」
強矢「まもりちゃん…」
まもり「近づかないで。レイプして殺したなんて、最低だよ!」
強矢「………」
尚武「この話、終わりにしない?他のこと検討しようよ」
知真「そ、そうだね!そうしようよ!」
なんか…上手くいかなかったな。
広衣「それじゃあ…狐にもそろそろ気をつける必要があるわね。人狼を全員倒せたとしても、狐が最後まで残っていたら、わたしたちの負けになってしまうから」
知真「狐が誰かなら、そこそこ絞れると思うけど…」
まもり「えっそうなの?知真くんすごーい!」
知真「まず、狐は人狼には襲われないから、これまで夜に襲われている、愛子さん、透さん、操士くんは違うよね。それとおそらく人狼の綾乃さんも」
まもり「ふむふむ!」
知真「それと、狐は超能力を使われると死んでしまうらしいから、僕がテレパシーを使った相手も狐ではないよね。今までに使ったのは、工士くん、広衣さん、愛子さん、日吉さん、隼人さん、風見さん」
…あれっ?だいたいみんな使ってたんだな。
知真「えっと…その2つのグループの人たちを除くと、あとはまもりちゃんと夢さんしか残らないよ」
操士「あー!知真くん嘘ついたね」
知真「な…何が?」
操士「君の大好きな尚ちゃんだって、狐かもしれないよ。なにこっそり候補から外してるの?」
知真「尚ちゃんはそんなことしないもん」
まもり「おおー、言い切った!」
尚武「俺はいつでも知真の味方だよ」
知真「尚ちゃん…!」
夢「何この茶番…」
まもり「それにしても、けっこう絞られたね!」
容疑者の1人なのに、まもりちゃんはのんきだ。
操士「じゃあさ、今この場で知真くんがその3人のうちの誰かにテレパシーを使ってみたら?」
知真「…え?」
操士「超能力を使われたら死ぬんでしょ?使ってみるのが一番早いよ。処刑の節約にもなるし」
知真「そ、それは、そうだけど…」
尚武「だめだよ。知真への負担が重すぎる」
まもり「あ!じゃあ、わたしがやろうか?超能力を使うだけなら、誰でもいいんでしょ?」
工士「まもりちゃんが誰かに使ったら火傷しちゃうよ」
広衣「容疑者の3人以外で、相手に危害を与えない能力って、やっぱり知真くんが最適じゃないかしら。わたしはさっき使ってしまったし」
知真「う、うん…」
でも使ったら、僕のせいで誰かが目の前で死ぬ可能性もあるんじゃないか?
それは怖い…。
尚武「知真はそんなことしなくていいよ」
尚ちゃんは僕をまっすぐ見て言った。
操士「そんなこと言って、自分が狐だから使われたくないだけじゃないの?」
尚武「君にどう思われようと構わないよ」
知真「尚ちゃん…。…でも、やっぱり僕が使わないといけないんじゃないかな。狐が誰かわからないと、村人チームの負けになって、僕も尚ちゃんも死んじゃう可能性があるんだよね?」
尚武「使わなくていいよ。知真の命は俺が守るし」
知真「う、うん…」
広衣「知真くん、使えるなら使ってほしいわ」
知真「そ、そうだよね…」
どうしよう。どうしよう。使ったら怒りそうなくらい、尚ちゃんは僕を思いやってくれている。
でも僕が使わないと、みんなに迷惑がかかってしまう。僕たちが生き残るのも難しくなるかもしれない。
僕1人が我慢すればいいことなんだから…
夢「もういい。めんどくさい」
知真「…え?」
静かだった夢さんが急にしゃべりだした。
夢「別にわたし、みんなを殺して1人だけ生き残りたいとか、思ってないもの」
知真「ゆ、夢さん?」
夢「わたし、自分の能力が嫌いなの。ある日突然この能力が使えるようになって、わたしは自分の夢を諦めなくちゃいけなくなったわ」
夢さんは淡々としゃべり続けている。
夢「そっからはもう、何にも気力が出なくて。ここで死のうがどうでもいいの。だからわたしに投票すればいいわ。知真くんが使うまでもない」
広衣「それは、あなたが狐だってこと?自白しているの?」
夢「そう捉えてもらっても構わない」
工士「どうして急に自白なんて…」
夢「理由が必要?どうだっていいでしょ」
まさか夢さんも尚ちゃんみたいに僕のことを案じて…?
…いや、さすがに違うよね。
まもり「はいはーい!投票の前に質問があるんだけど!」
夢「何?」
まもり「さっき言ってた夢って何ですかー?気になっちゃって」
夢「…歌手」
まもり「あー、なるほど!それはたしかになれない!」
操士「まりも、デリカシーないなあ」
まもり「まりもじゃないし!操士くんにだけは言われたくない!」
夢「あーうるさい。やっぱあんた嫌いだわ」
まもり「えー。仲良くしましょうよお」
夢「今から処刑される人間と仲良くなってどうするのよ」
まもり「たしかに!」
夢「たしかにって…」
多数決の結果、夢さんが処刑されることになった。
<話し合い終了>
夢さんがステージの上に立っている。
2秒で眠らせる子守唄…って、一体どうやって自殺するんだろう?
「鋭いですね、内藤知真」
「へっ?!」
ゲームマスターの姿が現れ、僕に話しかけてきた。
「能力を使った自殺の方法は思いつかないので、ここは特別に、蛭間夢さんの願いを叶えてあげましょう」
「わたしの願い…?」
「能力がなければいいと思ってるんですよね?その能力、奪ってあげましょう」
「へ…?」
夢さんの動きが一瞬ぴたっと止まった。そしてふらふらと舞台袖にはけていったかと思ったら、包丁を片手に戻ってきた。
「あ…ああ…」
夢さんの顔が恐怖に染まっている。しかしその手の動きは止まらない。包丁を両手で握り、自らの喉元に当てた。
「だ…だめ…死ぬなんて、嫌。歌えなくなるなんて、もっと嫌」
夢さんは包丁を勢いよく喉に突き刺した。
「がああああっ…はっ…はーっはーっ」
夢さんが呼吸をするたびに、息の漏れるような音が聞こえる。
見ていられず、思わず目を背けると、尚ちゃんに抱きしめられた。
「尚ちゃん…僕が能力を使ってたら、夢さんはあんな苦しい死に方をせずにすんだのかな?」
僕がそう尋ねると、尚ちゃんは僕の背中をさすりながら答えた。
「知真は何も悪くないよ。悪いのはこんなゲームをやらせてる人。…それに、あんな風に処刑を行っている服従の能力者だ」
「うん…でも…」
「知真は何も悪くない」
「尚ちゃん…」
「いや、知真くんが悪いよ」
「…えっ?」
振り向くと、操士くんがにこにこしながら僕を見ていた。
「処刑の回数には限りがあるんだよ?知真くんが使ってれば、今回で人狼を全員処刑できた可能性だってあるってこと。そしたら今ごろゲームは終わってたのにね!」
「そ、操士。仮定の話で責めるのはやめようよ…」
工士くんの言葉を、操士くんは完全に無視した。
「風見さんのことだって、もっと上手く庇えてればねー」
「そもそも、風見さんの過去の話を持ち出してきたのは君だろ。どうして知真のせいになるの?」
尚ちゃんが珍しく険しい口調で問いただした。
「あー、ごめんね?弱ってる人を見てると、余計に痛めつけたくなっちゃうから」
「もー。操士くんってば、どうしてそんなに悪者になりたがるの?」
まもりちゃんがほっぺたを膨らませた。
「本当は優しいところもあるのに、どうしてそういうの、素直に発揮しないのかなあ」
「はあー?何そのわたしはわかってます風な口調。まりもは馬鹿なんだから、もっと身をわきまえろよな」
操士くんはまもりちゃんにデコピンして、部屋を出て行ってしまった。
「いったーい!何するのよ!」
この2人は、人が死んでもマイペースだな…。
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