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超能力編ー5日目・昼(死体発見)
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「やっぱり風見さんが消えたかー。予想通り過ぎてつまんないね」
集合すると同時に、操士くんが嘲笑うようにそう言った。
「仕方ないよ!強姦殺人鬼なんて、殺されて当然だよ!」
まもりちゃんがほっぺを膨らませた。
昨日聞こえてきた声を嫌でも思い出してしまう。
風見さんはまもりちゃんに殺されていた…。
「まあまあ。とにかく部屋を見に行こうよ。話は後で」
尚ちゃんの言葉で、みんなぞろぞろと広間を出て行った。僕も続こうとすると、後ろから肩を叩かれた。
振り向くと、頬に尚ちゃんの人差し指が突き刺さった。
「もう尚ちゃん…」
「知真、かわいいね」
さらりとそんなことを言う尚ちゃんかっこいい!
「大丈夫?なんか元気なさそうな気がして」
「あ…そう見える?ごめんね。気にしないで」
「気にするよ。知真は俺の恋人だもの」
「あ…えへへ…」
幸せだぁ。僕は尚ちゃんの恋人で、尚ちゃんに心配してもらえるんだ。
「大丈夫だよ。とにかく行こうよ」
「うん…」
僕だけ甘えてるわけにはいかない。表に出してないだけで、きっと尚ちゃんだって辛い思いをしているし、他のみんなもそうだ。今は風見さんのためにも、ちゃんとゲームに向き合わないと。
風見さんの部屋を開けると、かなりきついにおいと熱気がもわっと立ち込めた。
風見さんは焼死体になっていた。
「あちゃー、これはひどいね。どうせなら骨になるまで焼いてほしかったね」
ひときわ明るい声で操士くんが言った。
いつもならそこで注意するはずのまもりちゃんと工士くんが、絶句している。
そんな中、広衣さんがすたすたと風見さんの死体に近づき、手袋を外して触れた。
「…あえて言う必要もないかもしれないけれど」
広衣さんの視線はすっとまもりちゃんに移った。
「犯人はあなたね」
まもりちゃんは少し後ずさりして、その場で崩れ落ちてしまった。
「わ、わたし…わたし…え…」
「風見くんの死体からは、あなたが風見くんに向けて炎を出している映像が見えるわ」
「そ、んな…」
まもりちゃんは、自分の服のすそを握り、がたがた震えている。
「ねーここ臭いよ。話は外でしようよ」
操士くんは2人の間に割りこむと、そう提案した。
「…それもそうね」
広衣さんはあっさりそう言うと、ひとり部屋から出て行った。
「そ、操士くん。どうしよう」
まもりちゃんはすがるように操士くんを見上げた。
「わたし、殺されちゃうの?あんな風に全身焼かれちゃうの?怖い。怖いよ。助けて」
「あはは。まりもは気が早いな〜」
操士くんがまもりちゃんに手のひらを向けると、まもりちゃんの体がふわっと宙に浮いた。
「きゃあ!操士くん?!」
「立てないでしょ?僕が広間まで連れてってあげるよ」
「やだやだ!パンツ見えちゃう!」
「まりものパンツなんか誰も見ないよ」
「そういうことじゃなくて!」
「そーれ飛んでけ」
「わあああ!」
操士くんが腕を振ると、まもりちゃんの体はすごい速さで広間まで向かって行った。
「操士…まもりちゃんが風見さんを…?」
工士くんが小さい声で尋ねた。
「知らないよ。まりもに聞けば?」
そう言って操士くんは部屋を出て、工士くんも続いていった。
「…僕たちも、行こっか!」
なるべく元気に声をかけたつもりだったのに、尚ちゃんに優しく抱き寄せられた。
「知真、辛くない?」
「僕は大丈夫だよ。まもりちゃん達の方がもっと辛い思いをしてるはずだし」
「そういうのは、比べるもんじゃないよ」
「そうかな…」
「俺から知真にお願いがある」
「…何?」
尚ちゃんを見上げようとしたら、頭ごと抱きしめられて何も見えなくなった。
「話し合いのとき、まもりちゃんには能力を使わないで」
「えっ?で、でも…」
「まもりちゃんはたぶん処刑される。知真にはこれ以上、人が死ぬ時の心の声を聞いてほしくない」
「………」
「俺は知真が心配なんだ。このままじゃ、知真の心が壊れてしまう」
「考えすぎだよ」
「約束して。まもりちゃんの心の声は聞かないって」
「…………」
「約束だよ」
「…うん」
部屋から出て扉を閉めると、嫌な臭いはしなくなった。だけど、自分の体に臭いが染みついてしまったような感覚がした。
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