アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
超能力編ー5日目・昼(話し合いと処刑)
-
<話し合いスタート>
残り人数 6人
内藤知真(テレパシー)
水川尚武(水つかい)
二木操士(サイコキネシス)
二木工士(サイコキネシス)
灯野まもり(パイロキネシス)
加古広衣(サイコメトリー)
×石動愛子(石化)
×日吉覚(幻覚)
×三木透(?)
×相馬隼人(瞬間移動)
×若草綾乃(年齢操作)
×蛭間夢(催眠術)
×風見強矢(風つかい)
…えっ、もう6人しかいないの?
広間に再集合したメンバーを改めて見回し、その少なさにぞっとした。
人狼ってあと何人残ってるんだろう?同数になったら負けなんだよね?1回1回の話し合いがすごく重要だ…。
広衣「風見くんはどう見ても焼き殺されてたわ。そんなことができるの、まもりちゃんしかいないわよね。サイコメトリーでも姿が見えたわけだし」
まもり「わっ、わたし、やってないよ!」
先ほどは落ち込んでいるように見えたまもりちゃんだけど、さすが切り替えが早く、大きな声で主張した。
まもり「たしかに風見さんなんて死んじゃえばいいと思うけど、自分で殺すのは後味が悪いもん」
尚武「後味…」
まもり「広衣さんの見間違えじゃない?わたしの姿が見えたなんて。それに、広衣さんが本当は人狼で、わたしのことはめようとしてる可能性もあるよ!」
広衣「じゃあ、知真くんは?昨日は誰に力を使ったの?」
知真「ぼ、僕は…」
まもりちゃんをちらっと見ると、大きな目でじっと僕を見ていた。
知真「風見さんを…」
広衣「風見くん、何か言ってた?」
知真「えっと……その、まもりちゃんって」
まもり「…え?」
知真「風見さんは亡くなる直前…まもりちゃんの名前を呼んでたよ」
まもりちゃんはひゅっと息を吸い込んだ。
まもり「しっ…信じらんない…。知真くんまで嘘つくの?知真くんも人狼なの?」
工士「まもりちゃん、落ち着いて」
まもり「工士くん…」
工士「まもりちゃんが人を殺せるわけないよ。…ね?操士」
操士「は?俺?」
操士くんはめんどくさそうに頭をくしゃっと手で触った。
操士「まあたしかに、まりもに人を殺すような度胸ないと思うけど。まりもが犯人だと見せかけるために、細工したやつがいるのかもね。こんな殺し方、まりもを処刑してくれって言ってるようなものだし」
まもり「そっか…そっか!そういうことだね!他の誰かが風見さんを焼き殺して、それで…たぶん、そのとき、わたしの変装をしてたんだよ!だから風見さんも広衣さんも見間違えちゃって…」
広衣「…誰が?」
まもり「え?」
広衣「人を焼き殺す能力を持ってる人、この中にいるかしら?」
知真「えーっと…僕と広衣さんは無理だよね。物理的なものじゃないし。尚ちゃんも水を使うやつだから火は出せない。工士くんと操士くんは物を動かす能力…2つの物を摩擦させて炎を出す、とか?」
工士「うーん…時間かければできるかもしれないけど、その間に風見さんに殴られて終わりだと思うよ」
操士「工士はしょぼいからね!俺ならできるけど、あいにく人狼じゃないのは確定してるし、この姿でまりもに変装するのは無理だわ」
操士くんは綾乃さんによって10歳くらいの見た目にされている。たしかに変装してもまもりちゃんには見えないだろう。
操士「ていうかさー、知真くん?もっと怪しい人、いるでしょ?」
知真「え…?」
操士「君の大好きな尚ちゃんだよ」
全員の視線が尚ちゃんに集まった。
知真「尚ちゃんは水を使う能力だよ。火とは程遠い」
操士「知真くん、本当は気づいてるんじゃないの?尚ちゃんは水を使うって自分で言ってるだけで、能力を見せてくれたわけじゃない。嘘をついている可能性が高いってこと」
知真「…尚ちゃんって呼ばないで」
操士「反論できないでしょ?知真くんも本当のところ、尚ちゃんを信じきれてないんじゃないの?」
知真「尚ちゃんは嘘をつかない。尚ちゃんが嘘をついてるの、見たことない」
操士「ま、知真くんがどう思おうとどうでもいいけど。尚ちゃん、証拠を見せてよ。君の能力が水を使うものだっていう証拠」
尚武「んー…」
尚ちゃんは曖昧な笑みを浮かべた。
尚武「ごめん、できない」
え……?
尚武「あのさ…知真に謝らなくちゃいけないことがあるんだ」
知真「なっ、なに…?」
尚武「俺のことすごく信頼してくれてる知真には悪いけど、1つ嘘ついてたんだ」
尚ちゃんが言葉を切ると、しんと静まり返った。
尚武「俺には知真を守ることなんてできない」
知真「え…」
尚武「俺は超能力なんか使えないんだ」
知真「…えっ?使えない?」
尚武「使えないものは見せられない。以上だよ」
操士「えー、なにそれ?一般の人が混じってたってこと?」
まもり「尚武くん超不利じゃん!襲われたら終わりじゃん!」
尚武「びっくりしたよ。超能力者って本当にいるんだね。しかもこんなにいっぱい。こんな場所で何もできないなんて言ったら危ないと思って、とっさに水を操れるなんて言っちゃったんだ。俺、名字水川だし」
知真「じゃ、じゃあ、尚ちゃんはどうしてここにいるの?超能力を持っている人が集められてるんだよね?」
尚武「無理矢理ついてきた。知真が連れ去られるのを黙って見てるなんてできないよ。そのときはまさか、こんなゲームに参加させられるとは思ってなかったけど」
知真「尚ちゃん…ごめんね。僕のせいでこんなことに…」
尚武「謝らないで。ここに来られてよかったよ。何の力にもなれないのは残念だけど」
知真「そんな、尚ちゃんがどれだけ僕の力になっているか…」
広衣「その辺の会話は後でじ……っくり聞かせてもらうとして、話を進めましょう」
広衣さんがばっさりと会話を切った。
広衣「尚武くんが超能力を使えないなら、やっぱりまもりちゃんが怪しいわね」
まもり「もー、わたしじゃないってば!」
工士「やっぱり尚武くんが炎を使える可能性もあると思うよ。知真くんには悪いけど、使えないことの証明はできない…よね」
尚武「もちろんそうだよ。でもそれは、全員に言えることだよね」
工士「え…?」
尚武「超能力が1人につき1つしかないとは限らない。例えば工士くんがサイコキネシスもパイロキネシスも両方使えるのに、片方は隠している可能性もあるだろ?」
工士「あ…そっか」
操士「えーっ、そんなのずるくない?」
尚武「ずるい?」
操士「フェアじゃないよ、1人で何個も能力が使えるなんて。1人1つが暗黙の了解でしょ?萎えるわー」
知真「でも、尚ちゃんなんて使えないんだよ?そもそもフェアなんてどこにもないんじゃ」
操士「使えるはずだよ。1人1つが鉄則だよ。使えることに気づいてないか、嘘をついてるんだね!」
知真「…尚ちゃん、もしかして気づいてないのかもよ?本当は水操れるのかもよ」
尚武「あっ!そういえば遠足とか遊園地とか必ず雨が降るけどもしかして」
知真「それは運が悪いだけだよ」
尚武「くうっ…!」
広衣「…なかなか話が進まないわね」
操士「そりゃそうだよ。こんなの話し合いじゃないもん」
広衣「話し合いじゃ、ない?」
操士「結局のところ、工士はまもりちゃんを、知真くんは尚ちゃんをかばいたいだけでしょ」
工士「そんな言い方…。操士はまもりちゃんが死んじゃってもいいの?」
操士「あれっ?工士は僕に口ごたえできる身分だっけ?」
工士「ご…ごめんなさい…」
操士「ここはもう、多数決で決めちゃおうよ。各自処刑したい人に投票してさ」
知真「でも…今6人だよ?3対3になったら…」
操士「その時は殺し合いだよ!得票数が多い2人同士で戦って、致命傷を負った方が処刑される。まあやりすぎて殺しちゃった場合は、殺した方が処刑されればいいし」
知真「で、でも…そんなの…」
操士「僕と工士とまりもは尚ちゃんに投票するよ」
知真「だ、だめだよそんなの!」
広衣「だったら、わたしと知真くんと尚武くんはまもりちゃんに投票するべきよ。あの子が人狼なのは間違いないんだから」
まもり「や、やめようよこんなこと…。わたし、尚武くんと戦うなんて、無理だよ…」
操士「まりもは臆病だねー!じゃあ代理で僕が尚ちゃんを殺してあげるよ」
操士くんは尚ちゃんに向けて笑いかけた。
操士「君の能力、早く見てみたいな!」
どうしよう。どうしよう。
このままじゃ尚ちゃんが死んじゃう。
でもまもりちゃんに投票しなかったら、多数決で負けて尚ちゃんが処刑される。
尚武「大丈夫だよ、知真」
尚ちゃんの手が僕の手を優しく包んだ。
尚武「俺は大丈夫。なんとかなる」
知真「そんな…」
尚武「知真のことは、絶対守るよ。安心して」
なんで、なんでこんな時に僕のこと…。
尚武「それじゃあ、多数決を取ろう。処刑する人を指差して。せーの」
1、2、3…4。
4本の指がまもりちゃんを指していた。
まもり「え…?工士く」
ぼおっと一瞬のうちにまもりちゃんの体から炎が燃え上がり、黒焦げになったまもりちゃんの死体が床に転がった。
<話し合い終了>
まもりちゃんの死体を挟んで、工士くんと操士くんが向かい合っている。
操士くんは初めて怒りの表情を見せていた。
「どうしてまもりに投票した?」
「…ごめん」
工士くんはうつむき、小さな声で呟いた。
「他にいっぱいいるじゃん。わざわざまもりを殺す必要ないだろ」
「……」
「もういい。お前はここで消す」
操士くんが手をかざすと、ドアの外からヒュッとナイフが飛んできて、手の中に収まった。
あれは…日吉さんの処刑で使われたものだろうか。
「どうして…?」
工士くんの瞳が揺れている。
「どうして僕を殺すの?兄弟なのに」
「お前はまもりを殺した」
「じゃあ、逆だったら?まもりちゃんが僕を殺してたら、操士はまもりちゃんを殺す?」
「…は?」
「きっと殺さないよ。操士は僕よりまもりちゃんのことが大切だから」
「お前の言いたいことが1ミリもわからん」
工士くんは服の裾を握りしめた。
「僕、ずっとまもりちゃんが嫌いだった」
「…なんで?お前ら仲良かったじゃん」
「まもりちゃんがいると、操士が取られちゃう。操士は僕のものなのに。まもりちゃんと操士が付き合ったら、僕は邪魔になる。そんなの耐えられない」
操士くんは深くため息をついた。
「工士……もういいや。萎えちゃった」
そう言って操士くんが立ち去ろうとしたとき、ドアの向こうから意外な人物が現れた。
「やあ!ずいぶん少人数になったね。来るのが遅すぎたかな」
「透さん…?!」
2日目の夜にいなくなったはずの透が、そこに立っている。
「綾乃さんに襲われて、とっさに能力使って逃げちゃったんだよね。そんなに若返るならもうちょっと待ってからにすればよかったなぁ」
透さんはじろじろと操士くんを見ている。
「透さんの能力って…?」
僕がそう聞くと、透さんは得意げに手を広げた。
「タイムスリップだよ!2日目から5日目にタイムスリップしたのさ」
「えーっ!ず、ずるい!3日間色々と大変だったのに…」
思わずそう口走ってしまった。
「やーでも、タイムスリップでいない間は生きてる人間に加算されないっていう縛りがあるしさ、下手したらタイムスリップしてる間に何もできずに負けてた可能性もあるわけよ。それはそれで大変でしょ?」
「じゃあ、今から加算されるというわけね。村人か人狼かが1人ずつ増えると」
広衣さんが透さんを見つめている。
「僕は村人だから、村人+1だよ。綾乃さんに襲われたって言ったでしょ?襲われた人は村人確定じゃん」
「綾乃さんに襲われたという証拠はないわよ。あなたが人狼で、自分が襲う番のときにタイムスリップしただけかもしれないわ。こんな途中で登場するなんて、怪しいもの」
「ま、そういう話し合いは明日すればいいじゃん。解散しよ、解散!」
透さんがパンパン手を叩き、その場はお開きになった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
122 / 151