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超能力編ー5日目・夕方(尚武と会話)
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真っ直ぐ部屋に戻る気になれず、尚ちゃんの部屋までついてきてしまった。尚ちゃんはにこにこしながら僕を部屋に入れてくれた。
「ごめんね。休みたいよね?」
「ううん。知真が来てくれてうれしいよ」
「えへへ。ありがとう」
尚ちゃんは僕の頭をぽんぽんと撫でた。
「知真は偉いね。大変な能力を持ってるのに、逃げずにちゃんと戦ってる」
「そんなことないよ。結局全然役に立ててないし…。やっぱ心を読める人がいるってわかってるのに、正直に考え事する人なんていないよね」
「あはは、たしかにそうかも」
尚ちゃんは軽く笑ってくれた。尚ちゃんの笑顔を見ると、嬉しくて切なくなる。
「このゲームが終わっても…僕たち、ずっと一緒にいられるよね?」
いつのまにか、思ったことをそのまま口にしてしまっていた。
変なことを言っちゃったな…とうつむくと、尚ちゃんは僕を抱き寄せてくれた。
「俺が絶対知真を守るよ」
「うん…」
いったいどうやって守るんだろう?
という思いが初めてちらっと頭をよぎってしまった。
尚ちゃんは僕を安心させるために言ってくれてるのに。だめだな。
僕は僕で、自分にできることをしよう。
「そうだ…今日は誰に能力を使えばいいと思う?突然戻ってきた透さんも怪しいし、工士くんは様子が変だったし、操士くんは尚ちゃんを処刑しようとしたし、広衣さんも…」
「知真はそんなこと考えなくていいよ。能力も、使う必要ない」
「え…でも…」
「俺は知真が傷つくのが何よりも嫌なんだよ」
「大丈夫だってば。そんなに弱くないって言ったでしょ?僕が能力を使えば、早くゲームを終わらせられるかもしれないんだ。そしたらこれ以上誰も殺されずに外に出られるかもしれないし…」
「他の人なんて、どうなってもいいじゃん」
「尚ちゃん?」
「むしろ俺たち以外全員死んでくれればいい。そしたら俺たちの勝ちだよ。2人で外に出られる」
尚ちゃんはいつもと変わらない笑顔を僕に向けてくる。
「目が覚めたら、みんな殺しあって死んでてくれないかな?」
「あ…えっと……」
僕が固まっていると、尚ちゃんははっとした顔をした。
「ああ…間違えた」
「間違えた??」
「疲れてるのかな。間違えちゃった」
「いや、間違えたって?」
「能力を使うなら、透さんがいいと思う」
「えっ……えっ?」
「ごめん。俺本当に、疲れてるみたい。今日はもう寝ようかな」
「あ…そっか…。じゃあ僕、帰るね」
半分追い出されるように、尚ちゃんの部屋を出た。
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