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超能力編ー6日目・朝(操士と会話)
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尚ちゃんの声が聞こえなかったことは、翌朝になっても僕の頭の中をぐるぐると悩ませていた。
寝てた…?
いや、尚ちゃんそこまでのんきじゃないよなぁ。
まさか既に襲われて死……いや…襲撃時間よりは前だった。それにそんなこと絶対だめだ。
じゃあやっぱり寝てた?うーん…
心配で気になって、僕はいつもより早く部屋を出た。
廊下に出ると、小さい男の子の後ろ姿が見えた。
「操士くん…?」
そう呼びかけると男の子はくるっと振り返った。
「ああ…おはよう、知真くん!早いねー」
「ひっ!」
振り向いた操士の顔にべったりと血がついていて、僕は悲鳴をあげてしまった。
「あはは、ごめんね。昨日襲撃されちゃってさー。面白いかなあと思って血をそのままつけてきたの。どう?」
「面白くはないかな…」
「えー残念。それにしてもさー、僕を襲おうとするなんて、馬鹿だよね。僕に勝てる人なんているはずないのに」
「えっと…誰に襲われたの?」
「尚ちゃん」
「へっ………」
息が、うまく吸えない。
「ごめんね知真くん!もう尚ちゃんには会えなくなっちゃったよ!」
「いっ…今から君を…殺します」
「えっ?」
体が勝手に動いて、操士くんの細い首をぐっとつかんだ。そのまま無感情に力を入れていくと、操士くんはバタバタと暴れだした。
「ちょ…ストッ、ストップ!やめっ…嘘!嘘だから!」
「へえ…」
「おい!聞け!やっ…やめろって…!誰か!」
「知真?!」
突然尚ちゃんの声が聞こえて、ふっと力が緩んだ。
その隙に操士くんは僕の手を逃れ、床に倒れて激しく咳き込んだ。
「尚ちゃん?あれ…生きてるの?」
「生きてるよ!何これ、どうしたの?操士くんに何かされた?けがはない?」
「あー…」
「この状況で知真くんの心配かよ…」
ゲホゲホし終わった操士くんが不満そうにそうつぶやいた。
「大丈夫だよ。ちょっとカッとなっちゃっただけ。それより尚ちゃん、今日も生きててよかった」
「どうしたの改まって?」
「いやだって昨日…」
言いかけてはっとした。尚ちゃんに能力を使ったなんて言ったら、尚ちゃんのことを疑ってるみたいになってしまう。
「ん?知真?」
「あー…えっと…昨日…つ、疲れてるみたいだったから。元気そうでよかったと思って」
「昨日はごめんな。変なこと言っちゃって」
「ううん。僕の方こそ…って、あれ…?」
ふと操士くんの姿が目に入った。
「じゃあ操士くんは、誰に襲われたの?」
操士くんはにやっと笑った。
「工士だよ。僕に勝とうだなんて、あいつは本当に馬鹿だよね」
「え…工士くんが?兄弟で戦ったの?」
「そうだよ。ま、返り討ちにしてやったけど」
「そんな…」
兄弟間で殺し合いなんて…ひどすぎる。
「いいねその顔!知真くんの面白い反応も見られたし、とりあえず顔の血は洗ってこようかな〜」
操士くんは上機嫌で去っていった。
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