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超能力編ー5日目・夜R
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ガチャリ
操士くんの部屋の扉を、工士くんが開けて入ってきた。
「やあ工士。僕を殺しにきたの?」
操士くんは特に驚いた様子もなく、冷ややかに笑って迎え入れた。
「馬鹿じゃん?僕に勝てるわけないのに」
「…気づいてたの?僕が人狼だって」
「いや?正直、誰が人狼なのかはそんなに興味ないし。知ってるでしょ?僕はただこの能力を使って人を殺してみたいだけ」
「…そう」
「だから、帰れよ」
操士くんは真顔になって言い放った。
「工士と戦っても僕が勝つだけじゃん。つまんないし。やる気でない」
「僕を、殺したくないってこと?」
「はっ?何言ってんの?」
「僕知ってるよ。操士はトリッキーな人を装ってるけど、身内を傷つけたいとは思ってないよね。本当は僕のこともまもりちゃんのことも、大事にしてるんでしょ?」
工士くんが、いつもと違って見える。普段の穏やかな様子とも、操士くんといるときのびくびくした様子とも違う。妙に落ち着いている。
「…お前、帰れよ」
「大丈夫。操士に僕は殺せない。だって僕のが強いから」
「はあー?工士、僕より能力使うの下手じゃん」
「そうだね。でも僕はそれだけじゃないんだ。ここに来て気づいた」
「えっ?」
工士くんの姿が一瞬で消え、操士くんの背後に現れた。
工士くんは操士くんの首に手を回して固定すると、懐からナイフを出して躊躇なく目に刺した。
「がっ……!ああっ!」
「これで能力は使えないね」
「お前っ…!」
工士くんが操士くんの額に手をかざすと、幼くなっていた操士くんの体がどんどん成長していき、ついに元の姿に戻った。
「僕の能力は、サイコキネシスじゃない。他人の能力をコピーできるんだ。元の能力より威力が劣ってしまうし、使うところを目撃した能力じゃないとコピーできないっていう短所はあるけど」
工士くんはそう言って手のひらに炎を作り出した。
「ほら、感じる?この温度」
「まもりの…お前がやったのか…?」
「日吉さんの幻覚を出す能力と、まもりちゃんの炎を出す能力を同時に使えば、あっという間に冤罪事件の完成だよ」
「なん…で…」
「なんでまもりちゃんを身代わりにしたのか?昼も言ったじゃん。操士を取られたくないからだよ」
「僕は別に、まもりと付き合う気なんて…」
「好きでしょ?気に入ってるでしょ?僕は、僕だけを見てほしいのに」
「ぐあああっ」
工士くんは操士くんの潰された目をぐりぐりと押した。
「でも、だめだったね。まもりちゃんを殺したって、僕は操士の1番にはなれなかった。だから僕、諦めるよ」
工士くんは愛おしそうに操士くんを抱きしめた。
「操士はもう必要ない。死んじゃっていいよ。今までありがとう!」
「正気…かよ…」
「僕はとても冷静だよ。まもりちゃん含めたら、もう3人も殺してるもん。慣れたもんさ」
「3人…?」
「愛子さんと風見さんとまもりちゃん。まあつまり、今までの人狼の襲撃は、全部僕がやってたってこと。あ、透さんだけは綾乃さんだけど」
「………」
「面白かったよ。これだけやったら、操士も僕を認めてくれるかなって思って」
「………」
「んー、わかんないな。テレパシーもコピーしたんだけど、操士の心の中、ぐちゃぐちゃすぎてよくわかんない。知真くんならちゃんと読み取れるのかなぁ」
工士くんは首を傾げ、自分の額に手を当てた。工士くんの体がどんどん幼くなっていき、さっきまでの操士くんと同じくらいになった。
「昨日はまもりちゃんのせいにしたけど、今日は操士に身代わりになってもらうね。僕が操士のふりをして生きて、操士は僕のふりをして死ぬ。あはは、操士の言った通り。双子は入れ替わらなくちゃ」
静かな空間に、工士くんの声だけが響いている。
「ねえ操士、僕も、人を殺すのって、すっごく楽しいと思うよ!」
そこでぷつんと、映像が切れた。
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