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超能力編
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日記はここで終わっていた。
「あれー、これ途中かけですね。この後どうなったんでしょう?」
「死んだんだろう」
エドガー先輩はあっさりとそう言った。
「うーん、先輩が言うなら死んだんですね!ご冥福をお祈りしましょう!」
「それにしても、この日記、変じゃないだろうか」
「変?ですか?」
「普通、こんなに細かく日記を書いたりしないだろう。まるで小説のようだ」
「たしかにそうですねぇ…」
僕たちは今、この日記でいうと広間と思われる場所に立っている。死体を眺めながら、この中に日記の主の死体もあるのだろうかと考えていると…。
「あれっ!消えた!」
「どうしたアラン」
「消えてるんですよ!そこにあったはずの死体、2つほど!」
「はあ…?」
エドガー先輩は首を傾げている。
「どんな死体だった?誰のだろう」
「男性2人分で、片方は腹部に刺し傷、もう片方に目立った外傷はありませんでした。この日記から考えると…そもそも広間に置いてあった可能性があるのは、尚武、工士、まもり、夢、隼人、日吉の死体ですかね」
「ふむ。腹部に刺し傷があるのは尚武だろうな。しかし外傷のない死体なんて、読んだ中に出てきただろうか」
「うーん、わりとみんなわかりやすく死んでましたよね」
「そもそも、この広間、妙だな。日記だと、工士が死ぬ時に部屋全体が燃えているはずだが、そういった痕跡がない」
「たしかにそうですね。…でも、焼死体は2体あります。まもりと工士のものでしょうか」
「うむ…工士が燃えたのは事実だが、部屋は燃えてないということか?」
「なんか…変ですね。早く帰りませんか?」
「ああ」
ところが、僕は気づいてしまった。さっきまであったはずの玄関が、ない。
「エエエエドガー先輩!ドアが…」
「アラン、わかったぞ。時計を見ろ」
「えっ…あれっ?!23時40分ですよ!僕たちここに来てから、そんなに時間経ってないですよね?」
「違う。逆だ。今私たちは、過去にいるんだ」
「過去?!」
「部屋が燃えていない理由はわからないが…死体がなくなったのは、過去に戻ったからだ。尚武が処刑され、工士が死んだ日の夜に」
「えーっ!一体なぜ…」
「お前は経験があるだろう。透が私たちを過去に連れてきたんだ」
「ど、どうしてですか?」
「透の依頼は、広衣を殺すことだ。もともとのゲームでは、最後に知真が広衣に殺され、村人の敗北で終わっていた。だから透はそれを避けるために、私たちを呼んだ」
「えっ…透が人狼じゃないんですか?僕てっきり、どうせあいつが悪者なんだと…」
「いや、あいつはおそらく村人だ。尚武が処刑された時点で、村人と人狼の人数は同数になっていた。その後で工士が操士を殺した映像を公開したのは、工士をペナルティで殺して人狼の数を減らすためだろう」
「じゃあ透は、工士のペナルティが何かわかってたってことですか?」
「え…?」
遠くからパタンとドアを閉じる音が聞こえた。
エドガー先輩が時計を見てはっとした。
「23時50分だ。急ぐぞ、アラン。広衣が動き出した」
「あ、待ってくださいー!」
超能力者に、僕たち2人が勝てるんだろうか?
少し不安を持ちつつも、僕はエドガー先輩の後ろ姿を追いかけた。
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