アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
占い師編R(1)
-
俺は市川。千葉に住んでいるしがない大学生。
大親友だと思っていたシンに恋人ができていた。しかも数ヶ月も前に。さすがに許せない。
「まったくシンは薄情だよなー。大親友の俺に恋人の存在を隠すとか」
カフェでコーヒーを飲みながらぐちぐち責めていると、シンはうんざりしたようにため息をついた。
「大親友ってなんだよ。市川と会ったの半年前くらいだろ…」
「量より質だろ!濃密な時間を過ごしてきただろー!」
「そうでもないぞ」
シンと初めて会ったのは治験のバイトに参加したときのことだ。貧乏大学生の俺がびくびくしながら薬を飲んでいた横で、シンはやけに慣れた様子でがぶ飲みしていた。気になって話しかけてみたら、怪しげな短期バイトと宝くじだけでがっぽり稼いで生計を立てているらしい。なんだこの人面白そうと思って連絡先を交換し、ちょこちょこ会いつつ今に至る感じだ。
でもそのちょこちょこが!実に濃密なものだったと俺は信じている!
「とにかく彼女さん!会わせてよ!」
「嫌だ」
「何で!」
「会わせたくない」
「だから何でー!」
「しつこいなぁ…」
シンはカフェラテが入っているグラスの氷にあいている穴に、ストローでカフェラテを少しずつ吸って入れて遊んでいる。全くもって真剣じゃない。
大親友を名乗っているが、実はシンのことはほとんど知らない。そんなシンが、恋人がいることをポロっと漏らしたのだ。食いつかないわけにはいかないじゃないか。
その後も押して押して押しまくっていたら、シンはついに根負けした。
「あー…もう、わかったよ。じゃあ今週土曜、ここで会わせるから。ただし、彼女じゃないけど大丈夫?」
「え?彼女じゃないの?セフレ?」
「彼氏」
「えっ……ええーーーっ?!」
か、れ、し?
彼氏と彼氏のカップル?
それって最近流行りの…そういうやつなのか?!
ぽかんとしていたら、シンはお金を置いて出て行ってしまった。
そしてきたる土曜日。俺は猛烈に緊張していて、約束の1時間も前にカフェに着いてしまった。
シンの…彼氏!一体どんな人なんだろう。
落ち着かずにコーヒーをぐるぐるかき回していたら、テーブルに影が落ちた。顔を上げると、知らない男の人がにこにこしながら俺を見ていた。
「君が市川くん?」
「…え、はい!えっと…あなたがシンの…?」
「ふふ。シンくんのお友達、だよ?」
約束の時間にはまだ早いし、シンはいないし、どういうことだ?
シンの彼氏は、伝票を取り上げ俺を立たせた。
「行こう、市川くん」
「え、でも、シンは?」
「ちょっと君に見せたいものがあってさ。シンは大丈夫」
「そ、そうなんですか…?」
シンの彼氏は、俺が当然ついてくるような雰囲気ですたすたと歩いていく。ちょっとおかしいんじゃないか?と思うけど、なぜか言い出しにくい。
「あ…あの…お名前、なんていうんですか?」
「ああ、まだ名乗ってなかったね」
シンの彼氏は振り向いてにやっと笑った。
「僕は透だよ」
1時間後。2人が去ったカフェに、シンとヤスがやってきた。
「嬉しいな。シンが友達を紹介してくれるなんて」
「…狙うなよ?」
「ひどいな。俺はもう昔とは違うんだよ。シンの友達と浮気するわけないだろ」
「うん…。ていうか、あいつまだいないみたいだな。いつも時間より早く来てるのに」
店内をきょろきょろするシンの肩にヤスの腕がまわされた。
「まあまあ。ゆっくり待とうよ」
「ああ…」
しかし、その後2人がいくら待っても、市川は現れなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
137 / 151