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占い師編R(2)
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透は俺を船着場まで連れてきた。
「市川くん、とっても面白いゲーム、してみたくない?」
「面白いゲーム…?いや、そんなことよりシンは?」
「あはは。何のこと?」
「えっ?君の彼氏と待ち合わせを…」
「僕にはねー、村木くんっていう夫がいるんだよ。シンくんはただのお友達」
「はっ?!」
「シンくんのことなんてどうでもいいじゃん。面白いゲームをしようよ!」
シンは自分の彼氏が見せたくなくて、この人を呼んだんだろうか。それとも、この人がシンに黙って俺を連れ出したんだろうか。
どっちにしても、俺は騙されたらしい。
「ゲームって何?」
「お!食いついたね!人狼ゲームだよ!南の島で人狼ゲームをしようよ」
「いいよ」
「決断が早い!君はできる子だね」
人狼ゲームならやったことがある。シンには悪いけど、俺はシンの彼氏よりもゲームの方に興味が湧いてきた。それに南の島!行ってみたい!
透はにこにこ笑って、そばに停めてあった船を指した。
「それじゃあ、あの船に乗ってもらおうか。頑張ってね、市川くん!」
船の中には7人の人物がいた。俺が席に着くと同時に船が出発したから、おそらく8人で人狼ゲームをやることになるんだろう。
「こんにちはー」
ゲームの前に仲良くなっておいたほうがいいかな、と思ってとりあえず隣に座っていた人に声をかけてみた。
「こんにちは!」
「俺、市川っていいます。あなたは?」
「俺は杜だよ。市川くんはなんて言われてここに来たの?」
杜は感じが良い人だった。顔もまあまあかっこいい。きっとまんべんなくモテるタイプだろう。
「南の島で人狼ゲームやるから参加しないかって。みんなそうじゃないの?」
「えっ、今から人狼ゲームやんの?」
反対隣の人が会話に割り込んできた。
「あ、ごめん突然。俺は牧原っていうんだけど」
牧原はなんだかチャラチャラした服装をしている。人は見かけによらないとはいうけど、こういうタイプは苦手だ。
「やー、無理だわ。1回やったことあるけど、あんな難しいゲーム俺できねーよ。時給1万円のバイトって言われて来たんだけどなー」
牧原はぷりぷりと文句を言っている。
時給1万円?
それ俺ももらえるのかな?
「杜さんも時給1万円で来たの?」
「さん付けしなくても、杜でいいよ。年近いでしょ?俺は友達に頼まれたんだよね。事情は行けばわかるから、とにかくこの船に乗ってくれって」
そんなざっくりとした頼みを聞いて船に乗ったのか。警戒心少なそうだな。
「そっかー人狼ゲームかぁ。俺も苦手だな」
杜は困った顔で笑った。
前の席の3人にも話しかけてみた。
「えっと…僕は津田っていいます。街で突然声をかけられて、よくわかんないうちにいつのまにかここに…」
津田は目がぱっちりしてて色白で小さくて、なんで女の子じゃないんだ!と叫びたくなるような可愛らしい男だ。
「俺は大町だ。牧原と同じで、バイトって言われて来たんだが…本当に金がもらえるのか不安になってくるな」
大町は同世代のはずなのにどこか枯れた雰囲気を持っている。今までの人生で何があったのか気になってくるな。
「僕は白井。ぼーっと海を見てたら目の前にたまたま船がとまって、面白いゲームをやるから中に入らないかって誘われたんだー。でも人狼ゲームなんて知らないや」
ぼーっと海を見てたらって何だ。眺めるほど綺麗な景色でもないのに。
後ろの2人にもあいさつをしてみた。
「俺は南。その辺で声かけられて、怪しいなーと思いつつのこのこついてきたわけだ。暇だったからな」
何が楽しいのか、南はにやにやしている。こういうのも苦手なタイプだな。
もう1人はすやすや寝ている。
「こいつは佐倉だよ。昨日から寝てなかったんだと」
南がにやにやしながら教えてくれた。
「南と佐倉は知り合いなの?」
「いーや。こいつが寝る前にちょっと会話しただけだ」
自己紹介が終わってしばらくすると、船がとまった。南の島というわりにはあんまり時間が経っていない気がするけど、下船するとそこはまさに南の島だった。
白い砂!ヤシの木!透き通った海!
そしてそこでは3人の男女が俺たちを待っていた。
「やあ、また会ったね!」
1人は透だった。いつのまに着いていたんだろう。
「これから君たちにはここでBL人狼ゲームをしてもらいます!ルールはとっても簡単!みなさんの中に潜んでいるゲイを見つけ出す!ただそれだけです!」
BL人狼ゲーム?
なんだそれ。初めて聞いたぞ。
「ゲイは夜中に1人のノンケを襲ってオンナノコにしてしまいます。みなさんは昼の話し合いで誰がゲイなのか多数決で決めて、追放しましょう。正解ならそこでゲームは終わり。不正解なら続行です。ゲイの数とノンケの数が同じになると、ゲイの勝利となります。ちなみに追放された人は、罰として精子を2リットル提供するまで帰れません!ノンケが負けた場合も同じく、精子を2リットル提供してもらいます。じゃあ続きを村木くん、どうぞ!」
に…2リットル?!
何回オナニーすればそんなに貯まるんだよ!
村木くんと呼ばれた男性がめんどくさそうに口を開いた。
「えー…ノンケはゲイへの対抗手段として、占い師とボディーガードという役職を持っている。占い師は夜に誰か1人について、ゲイかどうかを知ることができる。ボディーガードは夜に自分以外の誰かを守ることができる。ゲイがボディーガードに守られている人を襲おうとした場合、襲撃失敗となる。…これでいいか?」
「はいはーい!わたしの説明がまだでーす!」
女の人が手を挙げた。
「わたしは洋子です。よろしくね!みんなの中にはわたしのお友達の腐男子くんが紛れ込んでます!腐男子くんは占いではノンケと出るし、ノンケとしてカウントされますがー、なんと!ゲイが勝てば勝利となります!」
「あれ、洋子ちゃん、今回腐女子は連れてきてないの?」
「男装ができる腐女子のお友達、都合が合わないみたいなの…。残念すぎます!」
なんだか…3人はハイテンションだけど、こっちはわけがわからない。
えーとつまり、ゲイに襲われる人狼ゲームで、負けると精子2リットル?
やっぱりわけがわからない!
混乱してざわざわとする中、透が声を張り上げた。
「詳しいルールは各自の部屋のメモ帳に書いてあるから、あとで確認しといてね!ゲームは今日の夜から始まるよー!」
とんでもないことに巻き込まれてしまったぞ…。
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