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占い師編(3)
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2日目・昼
誰を追放するかの話し合いは、昨日集まったのと同じ場所でやることになっていた。
俺が集合場所に着くと、すでに多くの人が集まっていた。
「シン遅かったな。心配したぞ」
ヤスに声をかけられる。
「ああ…。もう全員いるのか?」
「いや、オカがいない」
「オカが……」
嫌な予感が胸をよぎる。
ざわざわとした空気の中、誰かが声を上げた。
「あれはオカじゃないか?!」
振り向くと、フラフラとした足取りのオカが見えた。
「おい、みんな、聞いてくれ…」
オカは集合場所に向かって歩きながら叫んだ。
「すごく、イイ。よかった。よかったんだ…」
「いかん。あいつまさか…!」
管理人がオカの方へと走り出した。
「尻がじんじんする。乳首がびくびくする。でも、すっごく気持ちいい。俺はもう、普通のセックスは無理だ。お前ら全員、俺を抱いてくれ!ぐちゃぐちゃにしてくれ!!」
オカは恍惚とした表情をしている。首すじからはキスマークがのぞいている。
「だめだ!この島は、恋愛禁止。性行為も、もちろん禁止だ」
管理人はオカの腕を掴み、船の方へと連れて行った。
「今のって、オカ、だよな…」
「昨日の夜、襲われたってことなのか?」
「一晩であんな風に…」
あまりの衝撃にしばらく言葉も出なかったが、徐々にそれも落ち着き、ざわめきはじめた。
「この後、話し合いなんだよな」
俺もヤスに話しかけた。
「ああ。あんな姿にならないためにも、早くゲイを見つけないと」
「ああなってしまったら、バイト代は期待できないもんな」
「シンってほんとお金が全てだよな…」
「え?人間皆そんなもんだろ?」
「静かにしてくれ。今から話し合いを始めよう」
管理人が戻ってきて、声をかけた。
「俺は参加しないが、司会くらいはやらせてもらおう。輪になって座ってくれ」
それに従い、10人は地面に腰を下ろした。
<話し合いスタート>
残り人数 10人
シン
ヤス
ヤマト
リオ
タカシ
コウタ
ユキナリ
トモヤ
アツシ
カズシゲ
×オカ
管理人「それじゃあ、追放する人間を多数決で決める前に、情報交換や議論をしてもらおうか。キリがいいところで声をかけるから、それまでは自分たちでやってくれ」
「やってくれ」と言われても、何から話したらいいのかわからず、沈黙が流れた。
俺の占い情報を話した方がいいかな、と思ったその時、ヤマトが口を開いた。
ヤマト「僕が得た情報を、皆に伝えた方がよいだろうな」
ユキナリ「なんだ?時間は限られてるのだから、そういうことはさっさと話せ」
ヤマト「すまない。伝えていいものか、よくわからなかったのだ。僕は皆を、信じていたのだが…」
ユキナリ「おい、御託はいいから早くしろ」
ヤマト「ああ…。昨日の夜わかったんだが、僕は占い師になっていた。そこでさっそく占ってみたところ、ゲイと出た人物がいたのだ」
…へ?
ヤマトが、占い師??
シン「え、ちょっと待てよ」
ヤス「シン、後で話せばいいだろう?今はヤマトの話を聞いておこう」
シン「で、でも…」
ヤマト「占いの結果、カズシゲがゲイだった」
カズシゲ「…は?!俺が…ゲイ?」
コウタ「もう1人目発覚かー!この調子でどんどんわかっちゃうんじゃね?」
トモヤ「占い師さんの力はすごいですねえ」
カズシゲ「いやいやいや、俺はゲイじゃない」
ユキナリ「占い師が言ってるんだぞ。反論できるのか?」
カズシゲ「は、反論て…」
シン「みんな、ちょっと待ってくれ!」
このままでは危ない。そう思って俺は声を張り上げた。
シン「ヤマトは、おそらく占い師じゃない」
ヤマト「む!なんだね君は」
シン「占い師は、俺だ。俺は昨日の夜、コウタを占った。コウタはノンケだよな?」
コウタ「えー!たしかにそっすけどー、じゃあ、占い師は2人いるってこと?」
ユキナリ「馬鹿な。それより現実的なのは、ヤマトかシンのどちらかが嘘をついてるということだろう」
シン「そうだ。ヤマトはきっと嘘をついている。ゲイ側の人間なんだ」
コウタ「へー、そうだったんか。ヤマト!なんで嘘ついたんだ!」
ヤマト「何を言うんだ。僕は嘘などついていないぞ。だいたい、僕が最初に占い師だと言ったのだ。カズシゲとシンがゲイで、カズシゲの危機を感じたシンが慌てて嘘をついたというのが妥当だろう」
コウタ「ほえー、たしかに!そう考えると辻褄が合う!」
カズシゲ「俺はゲイじゃないし、こんなカネカネ言ってるやつとグルじゃない!」
どうしたら俺は信じてもらえるんだ。
このまま俺が嘘つきみたいになって、最悪追放されたりなんかしたら、ノンケ勢に勝ち目なんてなくなるんじゃないか?
絶望的な気分になったとき、小さな遠慮がちな声が聞こえた。
リオ「あの…こ、これって、どうしようもないんじゃないかな。まだ、情報が、その……ご、ごめんなさい…」
ユキナリ「おい、話すのか話さないのかはっきりしろ」
リオ「え、えっと…」
ヤス「リオは、どっちが占い師か判断するには、まだ情報が足りないって言いたいんじゃないかな?」
リオ「う、うん!ありがとう、ヤスくん」
ヤス「アツシやタカシはどう思う?」
アツシ「たしかに、まだなんとも言えないな」
タカシ「お!よく聞いてなかった!」
カズシゲ「俺にあらぬ疑いがかけられてるんだ!しっかり聞けー!」
タカシ「ははは、すまんな」
なんだか良い流れになってきたんじゃないだろうか。とりあえず、すぐに追放されることはなさそうだ。
ユキナリ「…そうか。いいことを思いついた」
コウタ「おお!なになにー!」
ユキナリ「とりあえず、この場ではカズシゲを追放するんだ」
カズシゲ「え!俺、とりあえずで追放されるのかよ!そんな退場ありかよ!」
ユキナリ「そして明日の朝、スパイを利用する」
トモヤ「…なるほど。さすが鴻池グループの御曹司。良い作戦です」
シン「太鼓持ちはいいから解説してくれよ。俺にはよくわからないんだけど…」
ユキナリ「はっ、さすが貧乏人兼偽占い師。頭が働かないんだな」
シン「お前、いっぺん殴ってやる…」
ヤス「まあまあ。落ち着いて、シン。説明してくれないか?」
ユキナリ「スパイの役割を覚えてるか?」
ヤス「前日追放された人がゲイかノンケかわかるんだったよね」
ユキナリ「そうだ。だから、今日カズシゲを追放して、明日スパイにカズシゲが本当にゲイだったかを聞けばいいんだ。もしゲイだったらヤマトは真占い師である可能性が高いし、ノンケだったらシンが本物だ」
ヤス「なるほど…それならたしかに判断材料になるね。カズシゲ…どうかな?」
カズシゲ「で、でも、俺はほんとにノンケなのに…」
カズシゲが救いを求めるように俺を見た。
シン「カズシゲ、どうやらそうするしか術はないみたいだ。申し訳ないけど、ここで追放されてくれないか?」
カズシゲ「そんな…お前は味方だと思ってたのに…」
シン「大丈夫だ、カズシゲ。ここで追放されることは、むしろいいことかもしれない」
カズシゲ「なんでだ?」
シン「ここで追放されれば、カズシゲはオカみたいに男に目覚める可能性はなくなる。それに、俺が本物の占い師なのは、明日必ず証明される。そうすれば、ノンケ側が勝つ確率も高まるし、宝が発見する可能性も高まる。すると、だ!」
カズシゲ「すると…?」
シン「ここで追放されたとしても、カズシゲのバイト代はきちんと入るはずだ!もし村木がごねたら、俺も一緒に戦ってやるよ!」
カズシゲ「え、あ、ああ…?」
まあ実際、人より働かないことになるカズシゲにも同じようにバイト代が入ったとしたら、自分の分のバイト代はもっと上げるよう交渉するがな。
管理人「議論は尽くしたようだな。それでは、多数決で決めるとしようか。追放してほしい人物を、一斉に指差してくれ。せーの」
<結果>
カズシゲ 9票
ヤマト 1票(カズシゲによる)
カズシゲはそのまま船に乗せられ、どこかへと去っていった。
ごめんな、カズシゲ。
俺がすぐに占い師だと信じてもらえたら、追放されることもなかっただろうな…。
遠ざかる船を眺めながら物思いにふけっていると、ヤスが肩をたたいた。
「戻ろうぜ。カズシゲのことをいつまでも考えてても仕方ない」
「そうだな。じゃ、戻るか」
「あ、あれ?すごくあっさり!」
過ぎたことは忘れることにして、俺は自分のコテージへと向かった。
もうすぐ夜が始まる。
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