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占い師編(終)
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5日目・昼
目覚めたとき、隣にヤスの姿はなかった。痛む体を無理に起こすと、扉の前に誰かが立っているのが見えた。
「ついにお前も襲われたんだな」
そこにいたのは管理人だった。
…そうか。俺は追放されるのか。
のろのろと立ち上がり、管理人のもとまで歩く。
「襲われた他のやつらより元気がないな」
「…疲れたんだ」
「船はこっちだ。歩けるよな」
歩く最中、管理人がなにやら話していたが、全く耳に入ってこなかった。
昨日の自分の姿が信じられない。あんな風に、なってしまうなんて…。
「着いたぞ。乗ってくれ」
船は行きに乗ったのとは違うものだった。中の様子がよく見えない。
「おつかれさん。二度とこの島で性行為をするんじゃねーぞ」
管理人に見送られ、船の中へと足を踏み入れた。
「久しぶり、シンくん。伝説の石は…見つけてないよね。ていうか、忘れてない?」
船の中には、村木がいた。そして、透と洋子も。
「なんでお前らがいるんだ」
「面白いゲームが始まったって聞いたからさ、3人で見てたんだよ!脱落者を本島まで送りながらね!」
透が大きなディスプレイを指差す。
「あそこに話し合いの様子が映されるんです!リオちゃんにお願いして、カメラを仕込んでもらってたから。もちろん、シンくんの夜の様子もしっかり見させてもらいましたわよ!ふふっ。ふふふふっ」
洋子が幸せそうな顔をしている。
「ああ、大丈夫。俺は見てないよ」
「シンくん、今もヤスくんのことで頭がいっぱいなんでしょ。あ、僕は昼も夜も見させてもらったからね!」
「……」
最悪だ。なんなんだこの3人は…。
「ヤスくんはうちの組織のホープだからね。今まで何人ものノンケを男に目覚めさせてきたんだ。ね、どうだった?」
「別に…」
昨日のことを思い出しかけて、慌てて頭から追い出す。
「つれないなあ。あ、そろそろ話し合いの時間じゃない?いよいよ僕の組織の勝利が決定するね」
「いや、まだまだわからないぞ。俺はトモヤを信じてる…」
「はいはいっ。じゃあつけますよー」
洋子がスイッチを入れた。ディスプレイに島の様子が映しだされる。
ヤス、トモヤ、ヤマトの3人が揃っていた。
どうせこちらの負けだ。そしたら…
「そしたらバイト代はどうなるんですか!」
俺は大変なことを思い出し、村木に詰め寄った。
「えー?急に元気になったと思ったらお金の話か!払う。払うって。俺金持ちだから」
「そうか…」
俺はすーっと落ち着き、ディスプレイを見つめた。
<話し合いスタート>
残り人数 3人
ヤス
ヤマト
トモヤ
×オカ
×カズシゲ
×コウタ
×アツシ
×リオ
×ユキナリ
×タカシ
×シン
トモヤ「終わりの時が、来ましたね」
ヤス「そうだな。もうずいぶん減った」
トモヤ「それじゃあここで、種明かしをしましょうか」
種明かし?
トモヤはヤマトを見た。
トモヤ「腐男子さん、ゲイは俺ですよ。2人でヤスに投票すれば、このゲームは終わりになりますねぇ」
…トモヤがゲイ?
ヤマト「あなたが、もう1人のゲイだったのだな」
ヤス「ちょ、ちょっと待った。ゲイは俺だ」
ヤマト「む!ゲイは残り2人もいたのか!」
ヤス「そんなわけないだろ!トモヤは偽物のゲイだ。ノンケなのにゲイのふりして本物のゲイである俺を陥れようとしている」
トモヤ「俺は嘘なんてついてません。このままじゃ負けると思ったヤスが、苦し紛れに嘘をついているだけです。俺がゲイに決まってますよ」
ヤマト「そ、そんな…どう判断すればよいのだ!」
トモヤは、嘘をついている。このままでは多数決に負けてしまうと気づいて、とっさにゲイのふりをしたのだ。
今まで特に活躍していなかったトモヤが、希望の星のように見える。
ヤマト「それではこうしよう!僕が君たち2人に質問していくから、腐男子である僕の心をよりつかんだほうがゲイだと認める!」
え、え〜〜〜。
なんだこの展開は。
トモヤもヤスも何うなずいてるんだ。
今までの議論はなんだったんだよ!
ヤマト「まず第1問。君たちの体の中で一番敏感な部分はどこだ!」
セクハラじゃねーか!
ヤス「俺は耳が弱いな」
ヤスの言葉を聞き、ぞくっとしてしまった。
別に俺がヤスの耳を触って昨日の仕返しをしつつそのままベッドインする妄想をしていたわけではない。
トモヤ「俺は乳首ですかねぇ」
またしてもぞくっとした。
別に昨日のヤスの焦らしを思い出して乳首がうずいたわけではない。
ヤマト「僕は乳首攻めが大好きだ。ということで、トモヤに1ポイント」
なんてアホらしい勝負なんだ…。
ヤマト「第2問。最も好きなシチュエーションはどれ?
1.放課後の教室で先生と…
2.幼なじみとふざけあっているうちに…
3.ゴミを見るような目で見つめられながら…」
ヤス「うーん、2かな」
心臓がぎゅんとした。
別にヤスにも幼なじみがいたんだろうか…と気になったわけではない。
トモヤ「3ですねぇ」
今度はぎょっとした。
トモヤ、なんて趣味してやがる。
ヤマト「より変態っぽいからトモヤに1ポイント」
ヤス「…なあ、これいつ終わるんだ?」
トモヤ「あれ?2ポイントとられたからって反故にしようとしてませんか?」
ヤス「そ、そうじゃなくて、ヤマトが自分の趣味で聞いてる気がしたから…」
ヤマト「僕は腐男子だ。趣味で聞いて何が悪い!」
トモヤ「そうですねぇ。ヤマトが望むなら俺のことはなんでも教えますよ」
ヤマト「本当かね!」
トモヤ「その前に、投票をちゃちゃっと終わらせときましょ」
ヤマト「ああ。頼んだぞ!管理人!」
ヤス「待て待て!トモヤはご機嫌とってるだけだ!これまでのトモヤの態度思い出してみろ!トモヤがゲイだなんて素振りは全く」
ヤマト「ヤスがゲイだっていうふうにもなあ、感じられなかったぞ!どちらかというとシンの味方をしているようにも見られたな」
ヤス「それは、シンに怪しまれないようにわざと…」
トモヤ「ヤマト、信じてはだめです。俺はこういう時に備えて、なるべく目立たないように行動してきたんです。見つからないように、投票されないように、とにかく多数派に回りながら」
ヤマト「…僕の心は決まった。投票に移ろうではないか」
<結果>
ヤス 2票(トモヤとヤマトによる)
トモヤ 1票(ヤスによる)
「えー、嘘だろ?!」
透が悲鳴をあげた。
…まさか、勝つとは思わなかった。
「いやいやシンくん。まだ終わりじゃないよ」
村木が首を振った。
「バイトの内容は宝探しだ。これからトモヤくんは一人で伝説の石を探すはめになるわけだな」
「トモヤ、かわいそうに」
「それじゃ、これが君のバイト代だ。4日だから、400万円」
「ありがとうございます」
札束が4つ渡された。しっかりと握りしめる。
「伝説の石って、なんでも願いが叶うんだよね?村木くん、見つけたら何をお願いするんですかー?」
洋子が聞いた。
「安産祈願だ!なかなか子どもができなくて悩んでるものでな」
「石を探すより病院行ってみたらどうですかー?」
「病院行っても無駄だろう。相手は透だからな」
「へぇ……んん?!」
なんだか大変なことを聞いてしまった気がする。
「さあ、シンくん。ここでお別れだよ」
船は到着したようだ。
「ヤスくんに会いたくなったら、いつでも連絡してね」
「なりません。しません」
400万円と一夜の思い出を胸に秘め、俺はいつもの生活の中へと戻っていった。
〜占い師編・終〜
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