アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
人狼編(13)
-
6日目・昼
ノンケを襲うことができなかった。
今日の投票で勝つことはできない。
それはつまり…ヤスとは付き合えないということだ。
とぼとぼと集合場所に向かっていると、後ろから声をかけられた。
「シン、おはよう!…だめだったのか?」
ケイゴだ。腐男子…か。
返事をする気になれず、無言でそのまま歩いていく。
「おいおいおい、無視するな!」
「…はあ。何か用?」
「シン、諦めてるのか?」
「…え?」
意外なことを言われて、はっとケイゴの顔を見る。思いの外、真面目な表情をしていた。
「ゲームはまだ終わってない。俺たち、勝てないって決まったわけじゃないぞ」
「何か策があるのか?」
ケイゴの表情が固まった。
「お、俺はあんまり頭良くないし、思いつかないけど…でも、シンならきっと大丈夫だ!できるできる!」
「丸投げかよ!お前もちょっとは頑張れよ!」
「ほ…ほら、シンのおかげで、ユキトを追放することができたし。かたや俺は占い師を騙ったものの、ヤスを追放するわ、ユキトに白出すわ、全く有益なことしてないし。シンに任せた方が上手くいく!そう決まってる!だからさ、今日の話し合いに頑張って勝って、なんとか今日の夜もシンの濡れ場を見せてくれよ、な!な!な!」
ケイゴに肩をガッとつかまれた。口の端からよだれがこぼれている。
「お前気持ち悪いな…」
「いいよ。いくらでも言え!俺はより多くの夜の営みが見られたらそれでいい。なあ、シンってどういう人が好きなの?ミナトとミズキだったらどっち?掘りたい?掘られたい?なんでコタロウにはあんなに冷たかったの?やっぱり一番好きなのはヤスで」
「あー、はいはい。わかった。なるほど」
ケイゴへの嫌悪感は増したが、なんとなく元気は出てきた。
たしかにボディーガードは襲えなかった。でも、まだ話し合いは始まってすらない。
そうだ。このゲームの本質を思い出せ。
このゲームの本質は…
ケイゴにテキトーに相槌を打ちながら、集合場所に着いた。
しばらくして全員が集まり、鴨が話し合いの開始を宣言した。
<話し合いスタート>
残り人数 4人
シン
ケイゴ
ミズキ
ミナト
×ナオキ
×ヤス
×エドガー
×ユタカ
×コタロウ
×ユウスケ
×ユキト
ミナト「やった!これで、引き分けになる…!」
ミズキ「そ、そうだね。今すぐこの場に隕石が衝突したらこれまでの努力も全てパァになっちゃうけどね。ああ、世界の終末が怖い…家に帰りたい…」
ミナト「世界のことは置いといて、ひとまず投票に移ろう。シンに投票すればいいんだよな」
シン「ああ、そうだ」
ミナト「…いや、シンに聞いてないし。ミズキ、わかってるよな?シンに投票しよう」
シン「そうだ。さっさと俺に投票してくれ。俺に投票すれば、ここでゲームは終わり、引き分けになって、ミナトもミズキも襲われない」
ミナト「い、いや、だからシンに聞いてないってば」
シン「確認はいいから早くぱぱっと終わらせよう。早く俺に投票するんだ」
ミナト「まったくようしゃべるな…。鴨くん、シンもこう言ってるし早く投票に移ろう」
シン「そうだ。はやくはやく。ここで俺に投票すれば、全て、上手く、いく」
鴨「わかりました。では…」
ミズキ「ちょ、ちょっと待って!」
ミナト「なんだ、ミズキ」
ミズキ「怪しい。怪しいよ!」
ミナト「はあ?何が?」
ミズキ「シンがやたらと早く投票するように勧めてる!そんなことしてもメリットはないのに。これは何か裏があるに違いない。違いないんだぁ」
ミナト「そんな」
ケイゴ「そんなこと気にする必要ないぞ。ミズキはさっさとシンに投票すればいいんだ。それだけだよ。そうだろ?そうだね。俺ももちろんそう思う」
ミズキ「ほ、ほら!ケイゴも!ああああやしい」
ミナト「確かに様子が変だけど…でも2人の言う通りじゃないか。シンがゲイなんだから、投票すれば終わりだろ?」
シン「そうだ。俺がゲイだ」
ミズキ「ほらほらほら、なんか怪しい!ほんとは、シンがゲイじゃないんだよ。それで僕たちを罠にはめてこの島に閉じこめるつもりなんだよ!」
ミナト「考えすぎだろう。被害妄想も大概にしろ」
シン「そうだぞ。ミズキの考えすぎだ。お、俺以外にゲイが、い、いるはずなんて…」
ミズキ「いるー!絶対いる!た、例えば……ケイゴじゃないか?!」
ケイゴ「おおお俺がゲイなわけないじゃないか。腐男子だ、腐男子!腐男子!」
ミズキ「動揺してる!ああやっぱり…騙されるとこだった…」
ミナト「落ち着けよ。このわざとらしい動揺っぷりのが怪しいよ。だいたいケイゴがゲイなわけ」
ミズキ「し、信じない!僕はもう誰も信じないんだから!」
ケイゴ「大丈夫だミズキ!シンに投票だ!さあ、鴨くん、よろしく!!」
ミナト「だ…だめだぞミズキ!ゲイはシンだからな!」
<結果>
ケイゴ 3票
シン 1票 (ミナト)
「おいミズキ……」
「え、え、終わんないの?あれ?」
ミズキが慌てている。
怪しげな態度をとって、被害妄想の激しそうなミズキに誤解させる作戦、あっさり成功してしまった。
ヤスを追放したケイゴがゲイなわけないのに。
「陰謀だ。これは何かの陰謀だー!」
ミズキは走ってどこかへ行ってしまった。
「シン…わざとだよな。わざと変な態度をとって、ミズキを騙したんだ」
ミナトが詰め寄ってくる。
「それがこのゲームの本質じゃないか。まあ、いいだろ?ミナトは襲われないわけだし、負けても給料が出ないってわけではない」
「そ、そうだけど…」
「おいシン……」
なぜかケイゴが苦しそうな様子で近づいてくる。
「どうして俺を犠牲にしたんだ!エッチなシーンが見られなくなったじゃないか…」
「知らないよ。覗くなよ」
「くそお、洋子ちゃんに頼みこんで夜の映像を見せてもらうしかない…」
がっくり肩を落としながらケイゴは船へと去っていった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 151