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人狼vs狩人編(13)
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4日目・昼
side:アラン
昨日は不安で、なかなか寝つけなかった。
自分がこちゃこちゃと考えている間に、エドガー先輩が襲われてしまっていたらどうしよう。
ああやっぱりずっとエドガー先輩を守っておくんだった…。
自然と早足で集合場所に向かっていると、前方にエドガー先輩らしき姿が見えた。…誰かと2人で歩いている?
「エドガーせんぱーい!無事でしたか!」
走っていって後ろから抱きついたら、予想外に強く振り払われて、転んでしまった。
「あ…悪いな、アラン。驚いた」
「いいです!急に抱きついた僕が悪いんですから。エドガー先輩が無事だったとわかったら、安心してしまって……ところで、お二人はどうして一緒にいるんですか?」
エドガー先輩と一緒にいたのは、僕がゲイだとにらんでいるシンだった。
まさかエドガー先輩…狙われているのか?
「あ、ああ…えっと…」
「さっきたまたま会ったんだよ」
なぜかしどろもどろのエドガー先輩を遮って、シンが答えた。
「ふーん…そうですか」
何か怪しいな。ゲイじゃないかっていう先入観のせいかもしれないけど…。
「シンさん、僕エドガー先輩と一緒に行きたいので、先に行ってもらってもいいですか?」
「え?俺も一緒じゃだめなの?」
「エドガー先輩と2人で話したいことがあるんです」
ちょっと無理矢理になってしまったけど、シンは追い出すことができた。
「どうしたんだ?アラン。話したいこととは?」
エドガー先輩が怪訝そうに尋ねた。
「エドガー先輩、無事ですか?」
「無事ですかって…見てわからないか?さっきも同じこと言ってたし」
「エドガー先輩は気づいていないですか?」
「何をだ?」
「僕、シンさんがゲイじゃないかって疑っているんです。だから、一緒にいたけど大丈夫だったかなって……先輩?」
エドガー先輩の顔が固まっている。
「やっぱり何かあったんですね?教えてください」
「あ、いや…何かあったわけじゃないんだ。ただ…驚いただけだ。さっきまで2人きりだったからな」
「本当にそれだけですか…?」
エドガー先輩の表情をよく見ようと顔を近づける。
「アラン、近いぞ…」
「先輩の様子がおかしいので、よく見て確かめようと思って…あれ?なんか顔が赤いですね。もしかして熱でもありますか?」
体温を確認しようと、額に手を当てて顔を覗きこんだ。
「ちょっと熱いような…あ!そうだ。村木さんや透さんに熱があるって言えば、先輩だけ特別に帰してくれるかもしれません」
「アラン…」
エドガー先輩は僕から目をそらすように少し下を向いた。
「先輩?…何か隠していませんか?僕には言えないようなこと…」
「はい、ストップストップ〜」
突然後ろから透の声が聞こえた。
「アランくん、離れて」
「エドガー先輩が熱あるみたいなんです。非常事態なので帰してください!」
「いいからいいから」
無理矢理引き離されてしまった。
「エドガーくん、熱あるんだ?」
透はなぜかにやにやしながらエドガー先輩に聞いた。
「…いや、大丈夫だ」
「先輩!」
「そろそろ時間だろ?私はもう行く」
エドガー先輩はすたすたと先に行ってしまった。
「先輩……」
せっかく近くにいるのに、結局僕は何もできない。僕はまだ、エドガー先輩から信頼されるような助手になれていないんだろうか。
「まあまあ、気にすることないよ。そんなことより、アランくんも早く集合場所に行ってね。君毎回遅刻してない?」
「……」
「無視かー!ひどいな」
透とは目を合わせずに、集合場所まで急いだ。
集合場所には昨日と同じメンツが揃っていた。
昨日ゲイはショウヤを襲おうとしたのか。なんだかんだ僕は毎晩正しい人を守っているようだ。しかも、自分は襲われることなく。
…ゲイの人、よっぽど単純な行動してるんだな。僕に簡単に読まれてしまうような。
「はい!これで全員集まりました!未だに1回も濡れ場がなくて、わたしとても悲しいです」
洋子がほっぺをふくらました。かわい…くない。腹立つ。
「でもめげません!このまま帰ったら、ただの雑用係になってしまいますもの。今夜こそ楽しませてくれると信じてます!それでは話し合いスタート!」
こんな人でも結婚できるのか…。
<話し合いスタート>
残り人数 8人
シン
アラン
エドガー
ショウヤ
ナツキ
ミノリ
ソウタ
ミコト
×マサジ
×ヒロ
×ヨウ
ミコト「全員揃っているようだな。早くはっきりさせておこう。ナツキ、ヨウはゲイだったか?」
ナツキに注目が集まる。
ヨウがゲイじゃなければ、ミノリが偽物であることが確定する。そして同時に、ショウヤは本物の占い師であり、ヒロは腐女子であったこともわかる。マサジはゲイじゃなかったから、今この場にいる8人の中に、ゲイが2人いることになる。その2人を追放できれば、僕たちの勝利だ。
ナツキ「いやー、そんなに注目されると緊張しちゃうな。ヨウはゲイじゃなかったよ。残念だね、ミノリ」
ミノリ「……」
今度はミノリに視線が集まる。
ミノリ「そんな…そんなはずないよ」
アラン「何か言い訳でもあるんですか?」
ミノリ「ヨウは…ゲイだったもん。おかしい。もしかして、ナツキが偽物なんじゃない?」
ナツキ「へ?おれ??」
ミノリ「そう、だよ。ナツキは偽物。ショウヤも偽物。ヨウがゲイで、ナツキとショウヤはゲイと腐男子で、みんなして僕をはめようとしてるんだよ!わかった!わかっちゃった!!」
アラン「それはおかしいです」
ミノリ「おかしい?何が?」
アラン「それなら、本物のスパイの人は何をやってるんですか?偽物が堂々と名乗り出てるのに、ずっと無視してきたってことですか?」
ミノリ「偽物の人は…もういなくなっちゃってるんだよ」
アラン「ナツキさんがスパイだと主張したのは2日目の昼のことです。そのときはまだメンバー全員が揃っていました。それなのに誰も反論しなかったってことは、ナツキさんは本物だってことです」
ミノリ「う…」
アラン「どうしたんですか?まだ反論しますか?」
ミノリ「う…う…」
アラン「何かあるならはっきりと」
ミノリ「うるせえええ!」
アラン「え…」
ぶりぶりのぶりっ子が突然キレた。
ミノリ「なんだお前。ここぞとばかりにしゃしゃってきやがって。たいしたこと言ってないくせにドヤ顔すんじゃねえ」
アラン「え、ええー…」
ミノリ「だいたいお前、気持ち悪いんだよ。先輩先輩〜って、小汚いオウムみたいなヤツだな」
ミコト「いいぞもっとやれ」
ミコトが小声で応援している。
ミノリ「お前みたいなヤツ大っ嫌いだわ。大金積まれても付き合わない。一生遊んで暮らせるって言われても仲良くしたくない」
エドガー「えっとつまり…ミノリはゲイということだな」
ミノリ「そうだよ。悪いかこの老け顔」
エドガー「わ、悪くない」
ソウタ「…あ、じゃあ、ミノリに投票すればいいんだね!」
ミノリ「勝手にしろキモいコミュ障め」
ソウタ「ぐふう…」
ミコト「その前に、2人目のゲイが誰かも目星をつけておくのはどうだ?そうすれば、今夜ショウヤはその人を占えばいい」
ショウヤ「では、昨日の占いの結果を報告しておく。ソウタを占ったが、ゲイじゃなかった」
ソウタ「あ、お、俺?よかった…」
ミコト「けっこう絞られてきたみたいだし、まだゲイかノンケかわかっていない、グレーゾーンの人を整理してみるか」
アラン「そうですね!まず、今いなくなっているマサジとヒロとヨウについては、ヒロが腐女子でマサジとヨウがノンケってことが確定してますね。腐男子っていう可能性もなくはないですけど」
ショウヤ「俺はこれまでに、ミコトとヒロとソウタを占った。その結果から、ミコトとソウタがノンケというのも確定している」
アラン「今名前が出てきていないのは…、僕、エドガー先輩、シンさん、ミノリさん、ショウヤさん、ナツキさんですね。ミノリさんはゲイ、ショウヤさんは占い師、ナツキさんはスパイなので、僕とエドガー先輩とシンさんの中に1人ゲイが…いると…いうことですか…?」
あれ?こんなに絞られてたの?
ナツキ「日数は経ってるのに人はあんまり減ってないから、候補はだいぶ少なくなってるんだね。これならもう勝ったも同然。カンタンだね!」
アラン「この3人の中で1人なら、シンさんに決まってます!僕とエドガー先輩は、お互いにノンケだって証明できますもんね!」
ソウタ「あ、そうだね。この2人は元から知り合いなのか…」
シン「だとすると、余計に怪しいな」
ソウタ「え…?」
シン「たしかにゲイはあと1人だ。でも、忘れたか?このゲームにはゲイの味方である腐男子もいるんだ。この2人のうち、どちらかが腐男子で、もう一方をかばっている可能性が高い。先輩先輩言ってるアランがゲイって考えられないか?」
アラン「よくしゃべりますね、シンさん。嘘つく時って、言い訳のためにたくさんしゃべっちゃうもんですよね」
ソウタ「な、なんだかどっちも怪しく見えるな…」
アラン「シンさんがゲイだって根拠は他にもあるんですよ。ね、エドガー先輩」
エドガー「…今ここで、言い合っても仕方がないだろう。ひとまずミノリを追放して、あとはショウヤの占い次第で決めればいい」
アラン「エドガー先輩?どうして止めるんですか?」
エドガー「これ以上話して、アランに変な疑いがかかるのもよくない」
アラン「え…え…?」
そんな言い方すると、まるで本当にグルみたいな…
エドガー「ショウヤ、誰を占うのか迷っているか?」
ショウヤ「…いや、今の話を聞いてて、だいたい決めた」
エドガー「そうか。じゃあ、もうここはこれでいいよな。ショウヤ、信じてくれ。アランはもちろんゲイじゃない」
アラン「そ、そうですけど、そうですけど…」
ミコト「投票に移ることにするか。ミノリを追放し、あとはショウヤの占い次第で決める」
<結果>
ミノリ 7票
ソウタ 1票(ミノリによる)
「あ、あれ?俺なんで投票された?」
投票が終わるなり、ソウタが叫んだ。
「一番どーでもいい奴に入れた」
ミノリは吐き捨てるように言って、船へと向かっていった。
僕はエドガー先輩に駆け寄ろうとした。
「エドガー先輩!どうして…」
「一緒にいると怪しまれるかもしれない。ここで解散しよう」
「ええ…?」
そう言ってエドガー先輩は足早にどこかへ行ってしまった。
「お仲間にも見捨てられたか。かわいそうに」
ミコトが僕の肩を叩き、楽しそうに言った。
「ミコトさんは…どうしてそんなに僕を敵視するんですか?」
前から少し気になっていたことを、思い切って聞いてみた。
疑うにしても、なんだか過剰に思える。
「近所に、飼い主以外が通ると吠えまくる犬がいて迷惑していた」
「はあ?」
「お前見てると、その犬を思い出して腹が立つ」
「そんな理由で…」
「ちなみに、その犬はこっそり殺処分しておいた」
「…え?」
「お前が処分されるのも楽しみだよ」
ミコトはにやっと笑って去っていった。
初めて見る笑顔だった。
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