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人狼vs狩人編(終)
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数日後・昼つづき
side:アラン
目覚めたとき、なぜか僕は窓のない廊下にいた。
ゆっくりと体を起こすと、目の前には一つの扉があった。
「パラレルワールドにようこそ、アランくん」
いつのまにか横には透がいた。
「パラレルワールド…?」
「ここは、過去の世界だよ。エドガーくんがヤスくんに襲われる少し前の世界」
「は…?」
わけがわからない。僕が過去にいる??
「エドガーくんを元に戻してって言ったから、ついでに世界を丸ごと元に戻しちゃいました!ふふっ、ダイナミックでしょ」
混乱して何も言えない僕にかまわず、透は言葉を続けた。
「さあ、ぼーっとしてもいられないよ。せっかく過去に戻ってきたんだから、エドガーくんが襲われるのを避けなくちゃね!この扉の奥にはヤスくんがいるよ。ゲームに負けてやってくるエドガーくんを襲おうと待っているんだ。ね、どうする?」
「僕が、止める…」
本当にここは過去なんだろうか?透がからかっている可能性もあるけど、僕は最善を尽くさなくちゃいけない。
「そうだね!その通り!あ、ちなみに、未来から来たことは誰にも言っちゃだめだよ。言った時点で元の世界に戻すからね。それじゃあ僕は…また後で」
透は煙のように消えていった。不思議な現象だけど、今はそれどころじゃない。
僕がエドガー先輩を守るんだ!
ガチャ
扉の向こうには、やけに大きなベッドに腰掛けている男の人がいた。
この人が、ヤス?
見た目は普通の気のいい青年って感じだ。
「あれっ、君誰?」
ヤスは目を見開いている。
「エドガーが来るって聞いてたんだけど…?」
こ、この後どうすればいいんだ。
「え、えっと…僕は新井といいます…あ」
うっかり本名で名乗ってしまった。証拠は残すな、本名は隠せっていつもエドガー先輩に言われていたのに…。
「新井くん?どうしたの?迷った?」
ヤスは優しそうに話しかけてくる。
…透が悪く言っていただけで、この人本当はいい人なんじゃないか?
エドガー先輩を襲ったのだって、命令されて仕方なくだったのかも…。
「ヤスさん、ですよね?」
「うん。そうだよ」
「この後、エドガーせ…さんって人を襲うんですよね」
「うん。よく知ってるね」
「僕はそれを止めにきました!」
「…ん?どうして?透さんからはそんなこと言われてないけど…」
「えーと…僕が個人的に止めにきたんです」
「うーん、困るなあ。透さんに逆らったら怒られちゃうし。申し訳ないけど、それは無理」
ど、どうしよう。
正直に話していたら、未来から来たことがバレてしまう。
エドガー先輩が大切なんだと訴えても、聞いてくれそうにないし…。
「とにかく!ダメなんです。お願いします!」
「んー、なんで?」
「え、えっと…」
その時、透からの情報が頭を過ぎった。
上手くいくかわからないし、とても不本意だけど…今はこれしか思いつかない。
「ヤスさんのことが好きなんです!」
「えー?!」
ヤスは楽しそうに驚いている。
「だから、ヤスさんにはエドガーさんを襲ってほしくないというか…お相手なら、僕がしますから!」
「あはは、嬉しいなあ」
上手くいった…のか?
そう思って油断しかけたとき、ヤスが予想外の言葉をかけた。
「じゃあ、付き合おっか」
「……え?」
「ん?なんか変なこと言った?」
「えーと、付き合うっていうのは…」
「新井くん、俺のこと好きなんでしょ?」
「は、はい」
「じゃあ付き合おうよ」
僕が…男と付き合う?
む、無理だ。そんなの絶対無理。
「で、でも……ヤスさん、別に僕のこと好きじゃないですよね?無理に付き合うまでしてくれなくても、ここでエドガー先輩を襲うのをやめてくれるだけでいいというか…」
「新井くん、なんか面白そうだし、付き合ってみたいな。エドガーを襲うのはやめてあげるし、今すぐセックスしなくてもいいから、普通に付き合おうよ、ね?好きなんでしょ?」
「え、えーと…」
「あれ?どうしてそんなに渋るのかな?びっくり。もしかして、俺を好きっていうのは嘘だった?『エドガー先輩』と何か関係が」
「そ、そんなことありません!僕、好きです!ヤスさんのこと、とっても好きです!付き合ってください!」
「あはは!いいよ。よろしくね」
ヤスから手を差し出され、僕はおそるおそる握った。
ば…バレてないよな?ちゃんと演技、できてるよな?
「わーい!嬉しいなあ!」
「そんなに嬉しいんだ。可愛いね」
「ははは!ははは!」
……どうしてこうなった?
〜人狼vs狩人編・終〜
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