アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3人人狼編(2)
-
side:シン
ヤスとつきあうことになった…と思うけど、あれ以来ヤスは忙しいようで、なかなか会えていなかった。だから今日会うのは、付き合い始めて以降初めてだ。
そんなドキドキの再会を、こんなところで果たすことになるとは…。
「やあ、シンくん!」
「……ヤスは?」
いつも通りにやにやとしている透に対し、俺は不機嫌に尋ねた。
3日前。ヤスとはさっぱり連絡がつかないながらも、平穏な生活を送っていた俺の元に、透がやってきた。
そして、俺からの質問には一切答えず、「3日後にヤスに会えるからこの地図の場所に来てくれ」とだけ告げ、さっさと去ってしまった。
そんなわけで、仕方なくこの殺風景な建物の一室を訪れている。
ヤスに会うためには、透を仲介しないといけないとでもいうのか。
それに、どうして全く連絡をくれないんだろう。ヤスにとって、彼氏なんてその程度の存在なんだろうか。
「シンくんはせっかちだねー。少しは待つことを覚えよう」
「……」
もう十分待っている、という言葉はのみこんだ。そんな話をしたら、透のことだから根掘り葉掘り聞いて笑い者にしてくるだろう。
「それにしても、どうしてこんな怪しげな場所で待ち合わせるんだ?どうしてお前もいるんだ?やけに広い部屋まで借りて…」
「鈍い」
「え?」
「シンくん、鈍すぎるよ。これだけヒントがあるのに、何が起きるかわからないなんて」
「それってどういう…」
「あ、もうこんな時間か。僕は少し準備が必要だから、隣の部屋に行ってるね。シンくん…心を強く持ってね。あははっ」
「はあ??」
不可解な言葉を残し、透は部屋を出て行った。
仕方なく、俺は置いてあった椅子に腰掛けドアを見つめる。
どうせまともなデートをするわけじゃないんだろうな。会う場所も変だし…。
そう思ってため息をついた途端、ドアが開いた。
反射的に顔を上げると、そこにいたのはヤス……と、誰だ?
「シン…」
知らない人が、俺の顔を見てそうつぶやいた。
「あれ?知り合い?」
ヤスがその人を振り返って尋ねる。
「あ、えっと…」
「俺は会ったことないと思うんだけど…どうして俺の名前を知ってるんだ?」
というか、こいつ誰なんだ。ヤスの……なんだろう。
その人はしばらく固まっていたが、思いついたように話し始めた。
「うーんと……僕の知り合いに同じ名前のよく似た人がいるんですよ。あなたもシンっていうんですか。偶然の一致ですね!」
「へえ……。それで、君は誰?ヤスの友達?」
「僕はアランです。ヤスさんの友達です」
「…友達?」
ヤスの顔をじっと見て再度尋ねたけど、にこにこするだけで何も答えてはくれなかった。
「……それで?どうして俺は呼び出されたんだ?」
「今から一緒に南の島へ行くんですよね?なんで3人なのかはよくわからないですけど」
アランが答えた。
「南の島…?島って、もしかして…」
嫌な予感がする。透、ヤス、島といえば、もうあれとしか思えない…。
その時、部屋に置いてあったテレビから自動的に映像が流れ始めた。
「みなさーん!ごきげんよう。わたしの名前は洋子です!」
洋子がご機嫌にしゃべっている。
「今、この建物には16人のゲーム参加者の方が集まっています。それぞれ個室にいるので、お互いの顔はまだわかっていませんけどね」
やっぱりそうだ。
ゲーム参加者…つまり今から、あのゲームが始まるということだ。おそらく、ここにいる3人はゲイチームなんだろう。
…ん?
俺はこっそりアランを見た。
こいつもゲイなのか?ヤスとは友達って言ってたけど…。
「ここでみなさんに一つご報告があります。実はわたし、結婚するんですー!」
え?結婚?
…おめでとう!
「このゲームは、わたしの結婚を記念して村木くんと透くんが開いてくれたんです。うふふ。わたしがゲームマスターとなってゲームを進めていくので、よろしくね!これから始まるのは、簡単に言えばゲイ対ノンケの乱交ゲームです。詳しいルールは部屋にある机の引き出しの中の紙に書いてあります!ご確認のほどっ!」
きっと今ごろ、他の部屋では何事なんだと騒いでいることだろう。
「そしてそして、このゲームで勝利すれば、あなたの願い事を一つ叶えます」
願い事…?
「それと、今までと一つ違う点があります!ノンケの中に2人だけ、元から知り合いだった人が混じっていました。その2人はお互いにノンケだってことがわかっています。今は全員個室に閉じこめられているから誰かはわからないでしょうけど、後で全員集合したときにわかるってことよ!」
知り合いか…。ノンケであることが2人も確定するのはこちらに不利だな。
「これから夜が始まります。役職を持っている方は、そのことを伝える紙も部屋にあるので、確認しておいてください。それではおやすみなさい。とっても楽しみですね!ふふふふふ」
テレビの映像が切れた。
デートじゃなかった。しかも、2人きりですらない。きっと俺は、ゲームの人数合わせのために呼ばれたんだろう。
もうこんなのたくさんだ。
都合よく使われるのはたくさんだ。
「ヤス、俺…」
帰っていいか?と聞こうとしたところで、無言だったヤスが突然口を開いた。
「やあ、シン。来てくれてありがとう。久しぶりに会えて嬉しいな」
ヤスは満面の笑みを浮かべている。
「久しぶりって、それはヤスが全然連絡をくれないから…」
「俺もね、色々と忙しかったんだよ。透さんにこき使われてさ。だからなかなか連絡も返せなかったんだけど、このゲームに誘えば、仕事もできるしシンにも会えるしちょうどいいなと思って」
「そ、そう…」
そんなに忙しかったのか…。どうしてまたこのゲームに、と思ったけど、そういう事情なら仕方ない…のか?
「あれ?ヤスさん忙しかったんですか?」
そう思いかけていたところで、アランが不思議そうに話し始めた。
「忙しい中僕としょっちゅう遊んでくださってありがとうございました。でも、無理に毎日LINE送ってこなくてもよかったんですよ?」
「あー…アラン?」
ヤスの笑みが少しぎこちなく見える。
「改めてヤスのこと好きになっちゃったな」
アランが決定的なセリフを言い、ヤスの手を握った。
「これからもいい彼氏でいてね」
「え、えーっと…了解だ!アラン!」
ヤスは少し照れたような様子で握った手を上下に振っている。
「おい、ヤス…?」
俺がそう言うと、ヤスはくるりとこちらを振り返った。
「紹介が遅れてごめんな!この人は俺の彼氏のアランだ。彼氏同士ってことで趣味は合うだろうし仲良くやっていこう!」
「はあ…?」
ヤスの行動も態度も理解ができず、何も言葉が出てこなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
69 / 151