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清掃。
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喫茶店から暫く歩き、買い物を済ませ僕の住むマンションへと到着する。
「本音を言うと一人暮らしだから部屋は真ん中の狭い所が良かったんだけどもね。何故か丁度角部屋の住民が引っ越してそこしか開いていなかったんだ。」
駅が近いからという理由で住み始めたマンション。
前の会社は電車通勤しなければ行けない所だったので便利で良かったが、今は家を出ることが少なくなったため駅とはご無沙汰している。
「へぇ、いいとこ住んでるんだな。」
築10年となかなか新しい新米マンション。見栄えは綺麗だと思う。
僕の住む12階のボタンを押し、エレベーターが上へと誘導する。
「あ、床に資料とかペンとか散乱しているから、足元には気を付けるんだよ。」
「……え、」
嫌な予感がする、と言わんばかりの顔をする彼。
扉の目の前に行き、カギをガチャリと開ける。
僕の見慣れている光景。
「……どっかの資料館かよ。」
通路や部屋の至る所に本、本、本。
うず高く積み上げられたそこは今にも崩れ落ちてきそうだ。
資料が床に散らばり、ゴミ箱からはアイディアの没になったものたちが悲しそうに溢れかえっている。
「…昼食は後だ。まずこのゴミを片付けようぜ。アンタ普段どこで飯食ってんの…?」
「ベッドの上か、資料の隙間かな。」
はぁ、と彼がため息をつく。
なんだい、知ってるさ僕が片付けが苦手なことくらい。
彼はついでにと食材と一緒に買ったゴミ袋を二枚出し、一枚僕に突き付けてきた。
「ん、これにいらない資料ぶち込んで。俺他のゴミとか掃除とかすっから。」
てきぱきと働く彼。この子はもう嫁になるべきかもしれない。
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