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【3】雑魚×不良 1
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「おらぁッ!!!」
叫び声と共にドガァンッ!!と人間が勢い良く吹っ飛んでいく音が響き渡る。それを見てそいつの仲間だったヤツらが「ヒッ!」と息を呑んだ。
思い切り蹴りを入れた脚をゆっくり戻して、そいつらの前に仁王立ちする。キッと睨みを利かせるとそいつらはビクッと肩を震わした。
「び、ビビんな!!かかれ!!」
誰かの一声でオレの前の敵全員が拳を突き上げて一斉にオレに飛びかかってきた。
「フン…雑魚が……」
オレめがけて走ってくるそいつらに向かってゆっくりと歩き、次第に速度をつけてそいつらに殴りかかっていく。
バキィ!!とオレに殴ってこようとするヤツらの頬を殴ったり腹を蹴ったりして次々に倒していった。
そいつらはオレにとってはすごくちょろくて一殴りしたらすぐにその場にぶっ倒れてしまう。
ハッ、屁でもねぇな……
オレの周りを取り囲むヤツらを一通り潰したら、オレにまだ殴られてなくてその場に突っ立っているヤツらをキッと睨んだ。
すると残ったそいつらは「ひぃっ!」と情けない声を上げて、一目散に逃げていった。
「チッ…」
傍らに倒れているヤツの腹をガンッと蹴って、苛立ちを誤魔化す。そしてオレは踵を返してズボンのポケットに手を突っ込んで薄暗い道を歩き始めた。
はぁ…どいつもこいつも……
すぐにぶっ倒されるくせに喧嘩売ってんじゃねぇよ。
…売られた喧嘩は必ず買うけど。
オレ、佐野 冬弥(さの とうや)はここらの地域では誰の間でも一回はこの名前を口に出される有名な不良だ。
でも、ただこんな風に喧嘩を売ってきた相手を追っ払うだけなのに、どこぞのおばさんやら女子高生が「また喧嘩したらしい」とか「ここらの近くにいた」っていろいろ噂するから俺の評判は悪くなっていった。
しかし、売ってくるのは相手の方だ。俺はそいつらの喧嘩を買ってやってるだけで、でもそいつらが弱っちいからすぐに倒してしまう。そうしているうちに、オレはそういうワルなヤツらに騒がれるようになって今の有様だ。
オレはあんまり顔を見せびらかしたくなくて、前髪を目が隠れるぐらいに伸ばし毎日マスクをしていた。
右耳にもピアスをして、学ランの下に赤いシャツを着ていかにもやんちゃしていますっていう格好をしている。
もう夜に近づいているのか空は藍色に染まっていて、オレが歩く道には人気がなかった。
「はぁ…正直めんどくせぇんだよなぁ…全員雑魚ばっかりで」
苛立ちのこもっている睨みを利かせた瞳を長い前髪の間から覗かせながらズカズカと歩いていると、突然俺の立っている道の両サイドから人が出てきて俺の両手を掴まれた。
「ッ…!?」
突然人が出てきたことに驚いて一秒思考が止まる。
そして自分はさっき倒したヤツらに捕らわれてるんだとだんだん理解出来て、両手を掴んでいるヤツらの手を振りほどこうとしたが遅かった。
首元に注射みたいなものを刺されて液体を注入された。
次の瞬間くらっと視界が揺れて、オレはその場に倒れ込む。
「っく…!ちくしょ…」
霞む視界の端でさっきのヤツらが「上手くハメた」と言わんばかりの笑みを口元に浮かべ、横たわる俺を見下ろしていた。そいつらに見下ろされるのが何か悔しくて歯を食いしばってずっと睨んでいたがそれもつかの間、オレの意識ばプツリと切れた。
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くつくつと怪しげに笑う声と誰かの話す声がオレの耳の奥に響く。ゆっくり目を開けると辺りは真っ暗で、オレはさっきいたところとは違うところに横たわっているんだと分かる。
「….っ、う…どこだ…?ここ……」
手を付いて起き上がろうとする。しかし起き上がろうとした身体は地面に倒れていく。
何で、と思って手を動かそうとしたらぎちっと紐と紐が擦れる音が聞こえて、察するに後ろ手に手を縛られているみたいだった。驚いて慌てて身体を起こし、辺りをキョロキョロと見渡す。
「どこだよ、ここ…!?」
オレが声を荒げるとパッ!とオレの真上にある照明に明かりが点いた。突然目の前が明るくなったことで視界が眩み、目をつぶる。
「ハハッ、どうだトウヤ!!縛られた気分は!?」
遠くからオレを嘲笑う声が聞こえてその声の方向に顔を向ける。そこにはニヤニヤ笑いながら、脚を組んで椅子に座っている見覚えのある顔のヤツがいた。
アイツは確か….何週間か前にオレに喧嘩を売ってきて、そこそこやるヤツだったが最終的にオレにめちゃくちゃに殴られたヤツだ。こうしてまたオレに歯向かっているということは、復讐とか何かだろう。
「ハッ、あんな無様に負けたくせにまだオレに立ち向かってくるとはなぁ」
「あぁ!?トウヤてめぇ…!立場分かってんだろうなぁ!?
次に無様になるのはお前だ!!」
そいつは最初は昔のことを思い出したのか少し怒りながら言ったが、最後にはオレの事を指さしながら余裕たっぷりに笑っていた。
何で俺のことを指をさしているのかと周りが明るくなって初めて見る自分の身体を見下ろすと、オレは驚愕した。
「はっ!?なん、なんだよコレッ!!?」
オレの身体は服を纏っておらず、全裸でロープで巻かれていて腕と足が動かないようになっていた。腕と胴体、両手首、両太股、両足首の部分にロープをぐるぐる巻きにしてあり、ほとんど身体の自由を奪われている。
動かそうとしてもさっき打たれた注射のせいか、身体に力が入らなかった。
「ハハッ、淫らだなぁ?トウヤぁ」
「……チッ…こんな卑怯なことしてまでオレを潰したいのかよ…?」
「ずいぶんと強気だなぁ?まぁそれもいつまで続くか見物だなぁ、トウヤくん?」
そいつは余裕たっぷりにニンマリと笑うとパチンッ!と指を鳴らした。すると、どこから現れたのかそいつの部下らしきヤツらが数人オレに近寄ってきた。
「なん、だよ…」
じりじりと後ろに後ずさりしながら、そいつらから距離を取る。それでもそいつらはオレに近づいてきて、ついにオレの背中が壁にぶつかった。オレの周りは敵に囲まれていて逃げることすら出来ない。
「さぁテメェら!!トウヤをぶっ潰してしまえ!!」
そいつらはリーダー格のヤツのかけ声と共にオレに飛びかかってきた。
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