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電話
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「はい、携帯」
「ありがとうございます」
「さっきからそれ言い過ぎ。いちいち言わなくて良いよ」
「はい…」
充電100%の文字を見て、連絡先一覧をみる。
名前を書かずに、メアドと番号だけが載っている。
「………」
プルル、と音。
五回目のそれで音が変わる。
『どうした?こんな夜に』
寝ぼけた、優しい声。
「ごめんなさい」
『はは、大丈夫だって。で?』
信乃さんが、すぐそこで、聞いている。
わかってる。
でも、隠してる相手より。
長く僕だけを愛してくれる。
そんなあなたがまだ大好きなんだ。
『ゆーちゃん?』
「あの…明日、会えますか?」
『急だなぁ…まあ、大丈夫だけど。明日日曜日だしね』
「会いたい…です」
布団から起き上がり、部屋の冷たさに肌を震わせ、毛布をひっぱる。
『あれは?斎藤さん。あの…玲?だっけ』
「うん。あの人ね、僕を見てなかった」
沈黙。
『…つまり、二股ってやつですか』
「うん」
『じゃあ、迎えに行くよ。今どこ?』
「今、友達の家。えっと…」
信乃さんのほうを向く。
「○○の真ん前」
「あ、○○のすぐ目の前の…結構大きい家」
『おうおう。了解。じゃあ、8時に行こうか』
「うん、ありがとう」
『愛してるよ、ゆーちゃん』
「うん。僕もだよ、愛してる」
僕はこの声に安心して。
この人の想いで、安らぐ。
「良いの?それで」
「はい」
「荷物まだ開けてないよね?」
「あ、こっちに持ってきていいですか」
「うん、良いよ。じゃ、平和主義の僕から、玲ちゃんに更に薬もるよ」
「まじですか…」
「起きたら困るの、祐樹くんだよ?」
「あ…」
「それに、随分心を許してるみたいだね」
「前からです」
「…玲ちゃんと一緒にいるより、ずっと許してるね」
「へ?今なんて言いましたか?」
「気にしないで」
にこ、とする。
なんか、哀しい。
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