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イチゴタルト
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「わあ……イチゴタルト!」
「うん、俺のお気に入り」
カレーはうまくできて、好評だった。
何度も美味しいと言ってくれた。
「でも…高そう」
箱を開けたら、イチゴタルトが2つ。
イチゴがこれでもかと言うほどぎゅうぎゅうに乗せられている。
「普通だよ。ちょっと遠いけど、駅前のカフェの」
「へえー、僕、行ったことないんだ。玲が嫌だって言って…」
なんでこんなに美味しそうなのを嫌がったんだろう?もったいないことしてたなぁ。
「そっかぁ、じゃあ…初体験?」
にや、としてくる。
「ち、ちちちち違っ…まあ!そうですけれども!その…あの、言い方、は…」
「ははは、初体験何か貰いたかったんだよねぇ。ほら、手繋ぐのと、キスは…親に取られてるか。あ?手繋ぐのもか?」
「でも、本当に好きになれたのは多分はるだけ」
「あ、また貰えちゃったな」
嬉しそうに笑う。
「僕にも、初体験何か貰いたいな」
「全部あげたよ」
「へ…?」
「そうだなぁ…童貞とか、恋愛とか、こういう時間とかさ」
フォークを持ちながら、ゆっくりと話す。
「なら、もっとあげるよ」
「じゃあ、俺も」
イチゴタルトは、記念日の証となった。
なんだか、すっぱいイチゴと甘いクリームが僕たちを溶かしていくみたいだった。
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