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エスプレッソ
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カフェに着けば、まだ玲はいなく、窓際の席に座った。
「何か飲む?」
「エスプレッソ飲みたい…」
「じゃあ、俺も。すいませーん……エスプレッソ2つ」
外は生憎の天気で、雨が降りそうな曇りだった。それが僕の心を余計に暗くさせた。
「緊張してる?」
「少しだけ…」
はるに笑いかける。
…上手く笑えていただろうか。
「してるじゃんか。大丈夫だよ、俺がいるから。いざとなったら俺が話すからさ」
そう言って、僕の手を掴んでくれて、楽になった。
「お言葉に甘えます」
「そうこなくっちゃ」
さっきの緊張が嘘みたいに笑えた。
玲には、どんな顔を見せれば良いのか。どう振舞えば良いのか。どう接するべきなのか。
わからない。
できれば来て欲しくないほとも考える。
エスプレッソが来て、ちょうど良い熱さになるまでストローでかき混ぜて遊んだ。
「ゆーちゃん、流石にもう飲めるよ?」
「猫舌だからむーり」
やっぱり不安で、言葉も少なくなり、会話は途切れ途切れになる。
「あ、ゆーちゃん」
「何?」
「あれ…?斎藤さん」
視線の先を見たら、背の高い玲がいつものコートを着て、カフェへ歩いて来ていた。
「ついにお出ましですか」
まるで、戦うかのように、はるが呟き、互いに一口飲んで、手を握り、椅子に背を預けた。
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