アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
さわぎ
-
「はじめまして。斎藤玲と申します」
「こちらこそ。田辺遥です」
「………」
なんか、怖い。雰囲気やばい。
2人とも綺麗すぎるつくり笑顔をしている。
「祐樹が長い間お世話になりました」
「「へっ?」」
急な玲の言葉に戸惑うしかない。
はるが僕の腕を握る。
「悪いけど、ゆーちゃんは今、僕のことが好きなんだよね。君は用無しだ」
「それでしたら、2人で話す時間を下さい」
ギンッ、とはるが玲を睨む。
ふっ、と玲が笑い、僕を見つめてくる。
その目が怖くて、顔を俯けた。
「何もしませんよ。ただ、一日話がしたいだけです」
「お前っ…!」
店もざわついてくる。
だめだ。騒ぎなんか起こしたら。
でも、これって、僕のせいで揉めてるんだ。どうすれば良い?
困った顔をつい、玲に向けてしまった。玲はその顔をみて、ただじっと僕を見つめてきて、はるもそれに気づいて見てきた。
ここの判断は僕に委ねられたのだろう。
「……」
わからない。どうするべきかなんて。
はるについて行くなら、玲がどうするかわからない。
玲について行けば、はるがどうするかわからない。
「ゆーちゃんは、どうしたい?」
いつもの優しい声が僕にふってきた。
「は、る…?」
「話つけてくるだけみたいだし、それなら良いよ」
少し寂しそうな顔が心を締めつけた。
「はる、ごめん、なさい」
「大丈夫だよ」
腕が解かれて、玲のほうへ行く。
そのまま店を一緒に出て行ったが、はるを振り返るなんてできなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
100 / 205