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朝の心配
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日付が変わり、朝起きると、もう玲は隣にいなかった。
布団も冷たい。
いきなり無力感に襲われる。
「れい」
ああ、今日で、お別れだ。
どっちから別れようって言うんだろ。
「玲」
いない人の名前を呼ぶ。変に部屋に響いて。
「起きたか?」
玲が部屋に入ってくる。
「うん」
「なら、朝飯食べて帰れ。お前の携帯鳴り続けてる」
「あっ、ありがと」
携帯を投げ渡される。
手で渡してくれないことに悲しくなった。
携帯が、また震える。
「早く出ろ。心配されてっぞ」
「……あ、うん」
ベッドに座らずに、部屋の窓際の椅子に座る玲。
もう、熱は感じない。
「…もしもし」
『ゆーちゃんっ?』
「ごめん、連絡しなくて」
『体とかはっ?なんかされてない?』
「大丈夫」
腰の痛みは最小限だから、きっと玲が考慮したのだろう。
『はあ…なら良いけど。今斎藤さんとこ?』
「うん」
『斎藤さんに変われる?』
「あ、うん。わかった……玲、電話」
無言で立ち上がり、離れた位置で手を伸ばして来たので、僕も手を伸ばして渡した。
「はい、斎藤です」
渡してすぐに、また椅子に座った。
距離は、つめられない。
寂しいな、これ。
無意識に、布団を握りしめていた。
気づいて手を離せば、跡が残った。
ゆっくり、薄くなる。でも、跡は残る。
玲とのこういう関係もこうなって、それで友達関係だけが残るのかな…
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