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はるの一面
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「でもね」
「え…?」
目を合わせる。
「考えてみれば、ここ、僕の消えてるはずだよね」
「っ…」
玲が上からつけたキスマークをなぞっていく。
「それに、ひどくされた様子もない」
「は、る…?」
目がすごく冷たくて、鋭い。こんなはる、みたことない。
「まだ、斎藤さんのこと、好きなんでしょ?」
全部見透かれている気がした。目をそらせない。
「そこまで嫌ってる感じでもなかった」
声も、刺さるみたいで。
「あの、さ」
俯いたと思ったら、優しい顔が戻ってきていた。
「まだ、未練があるなら斎藤さんのとこに行きな。前みたいに、ときどき会ってくれれば良いから」
「はる…」
最後らへんは、声が小さくなって、切なげに、自嘲気味に言った。
「言ったでしょ。俺は、ゆーちゃんに幸せになって欲しいんだよ」
「はるっ」
「だから、ね?」
「はる!」
「っ」
なんで、そんな泣きそうな顔をするんだ。我慢するんだ。自分が求めているなら、求めれば良いじゃないか。
「今は、さ。忘れよ…?」
こっちも、泣きそうになる。
「そういうのやめて。僕はもう未練なんてないよ」
「違う。じゃあこのキスマークとかは」
「玲が勝手につけた。……今僕は、はるが好きだよ」
「…そっか。ごめん、勘違いして。妬いちゃっただけ」
「今日は、もういい。シャワー浴びてくる」
「うん」
風呂場に走っていく。
ドアをしめて座り込む。
「はあ、はあっ…」
怖かった。嘘をついたのもわかったかもしれない。あそこまではるが追い込めるなんて知らなかった。
…知らない。
きっと、僕の見てないとこだともっと違う一面があるんだと思う。
でも。
きっと、はるが好きなのは、本当だよ。
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