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きーちゃんのお姉さん、希(のぞみ)さんに結局送ってもらうことになって俺は車の中にいる。
希さんはきーちゃんとは違って、結構なんでもハッキリ言ってくる人だ。
あぁ、だからきーちゃんはあんなに空気が読めるというか、気遣い上手な子なのかも。
「今日、あなたが来てくれてよかったわ。」
「えっ?」
「あの子、大丈夫ってすぐ言うでしょ?それは私たち家族にもそうなのよ。本当に辛いときこそ1人で乗り越えようとしちゃうのよ。」
今日病室に入ったときも、当たり前だけど、きーちゃんの傷はまだハッキリと残っていた。
見てるこっちが痛くなるくらい痛々しそうなその顔に、また泣いてしまいそうになった。
だけど、きーちゃんは何一つ、アイツに対しての恨みを言うことはなかった。
本当は1番辛いのはきーちゃんのはずなのに。
「それは、わかります。普段はすごい懐いてくれるのに、たまに一線引かれるときがあるんですよね。」
「あの子は他人のことを思いすぎなのよね。けど、あなたが来た途端すごい安心した顔になって。なんかなー負けた気がした!」
「いや。俺なんてなんも出来てないですよ。」
「もーあなたも希理もなんでこう変なとこでネガティヴなの?!あの子の最後の顔見た?行かないでって捨てられた子犬みたいな顔しちゃって。私が男だったらキスなんかじゃ済まないわよ。」
俺が帰ると言った瞬間のきーちゃんの顔。
まだ一緒にいて。
そう言われているような気がしてたけど、ほんとそうだったんだな。
やば……きーちゃんかわいすぎる。
「ニヤけてんじゃないわよ。」
「あ……すみません。」
「あの子のこと幸せにしなさいよ。」
「まずきーちゃんが受け入れてくれるまでがんばります。」
「前みたいなことはもうやめてあげて。ちゃんと言葉にしあげてね。」
「そこは絶対大丈夫なんで、安心してください。」
「いい顔ね。まっ、私は希理の味方だから。」
そういう希さんの顔は本当にきーちゃんのことを大切に思っている顔で。
こんなに愛してくれる人がいるから、きーちゃんはあんなにいい子なんだろうな。
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