アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
0.決闘
-
人間が来るのは初めてだった。王座の前に、一人の男が仁王立ちしている。
男が白い手袋を投げてきた。足下に落ちた、それを摘まむ。
「これはなんだ」
「決闘だ」
男を見て首を傾げる。男は自信満々な様子で、にっと笑った。
「俺は白手袋の団、団長。壮克(ソウコク)だ!俺は化け物たちの長であるお前に、決闘を申し込む!」
「…成る程」
威勢だけはいい男、壮克につられて、口角が上がる。摘まんだ手袋をぐしゃりと握る。ゆっくりと立ち上がり、壮克の目の前まで歩み寄る。相手の方が身長が高く、少し腹が立つ。
「一つ、訂正を入れよう。我らが化け物とは貴様らの主観にすぎない。我らは貴様ら人間より進化した『魔人(マジン)』である。そして、我はその頂点に君臨する王、朱樹(スジュ)だ」
「…………」
「…どうした」
「あ、いや!?別に!」
壮克は近くまできた自分を見て固まっていた。誤魔化すように笑うが、明らかに動揺している。今更怖じけついたのだろうか。
「この部屋まで来たことは褒めてやろう。…泣いて戻るなら今のうちだぞ、壮克」
「戻らん!王様こそ、図体がでかい俺にびびったんじゃないのか?」
「ふふ、減らず口を叩きよる。滅すぞ」
軽く脅かしてみたが、威勢だけよい男に戻ってしまった。自信満々、勝ち気な笑みを浮かべている。成る程、おもしろい。
「さて、お遊びはここまでだ。壮克、貴様からの申し出、応じよう」
決闘だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 6