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幼なじみ
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恐怖で言葉も出なくなって、瞼をギュと閉じて殺される事を覚悟する。だけど、何時まで経っても痛みも何もなくて瞼を開くと後ろから、優しい見知った人物の声が聞こえた。
「司、そんなに身構えてもなにもしねぇけど?」
「……た……くみ? なんで、拓海が此処に……」
「さぁな、どうしてだと思う?」
「どうしてって、この手錠とこの部屋知ってる事があるなら説明してくれよ」
俺を抱きしめながら意味深にそう言った拓海を問い詰めながらと振り返ると、拓海は微笑して話をはぐらかしながら俺の頬を撫でる。
「まぁ、後でわかるだろうよ」
「後でって……知ってるのか? 外せよこれ」
「後でな」
その優しい触れ方と曖昧な答えに困惑していると、拓海が俺の事を離して振り向いたままの俺の顎をクイっと上げる。
顎を上げられて自然と拓海と視線が交わる。拓海はそんな俺を見て少し口角を上げた気がした。
「拓海?」
どっかの少女漫画のように顎を上げられたままの俺に拓海は苦笑すると顔を近づけてきた。
俺は、拓海が何で顔を近づけているのか分からなくてそのままでいることにした。
「無防備」
「は? ……んむっ!」
顔がキス出来るまで近づいて、拓海は低くそう言っと俺に触れるだけのキスをしてきた。
親友に、男に、キスをされている事に頭が追いつかなくて真っ白になっていく。
俺の視界に見えるのは拓海のワックスで固めた金髪とピアスだけだった。
触れるだけのキスなのに何時間もキスされている感覚になって固まっていると、拓海が唇を離した。
俺は、固まったまま拓海を見ていると唇を舌で舐めとってクスリと笑った。
「司、何て顔してんだ。何時も以上に変な顔になってんぞ」
「た……た……拓海がキスとかするからだろ!? 吃驚しただろ。キスするなんて何考えてるんだよ。普通あり得ないだろ」
拓海が俺の顔を見て面白そうに笑うもんだから、からかわれたんだと分かって少しムカッとして思った事を言うと拓海は黙ってしまった。
「……拓海?」
黙ってしまった拓海の顔を、動ける範囲で除こうとした時、優しく頬を撫でられた。
俺は、なんで頬を撫でるのか不思議に思って声をかけようとした時、拓海が耳元で優しく囁いた。
「なぁ、司。俺、お前の事殺したいくらい愛してる。だからよ、俺の事拒絶しないでくれ。お前の事壊したくて堪らなくなるだろ?」
「……拓海? なに言ってるん……だ?」
親友だと、幼なじみだと、思っていた奴に地獄のような言葉を囁かれて頭が真っ白になっていく。
そんな俺を、お構いなしに拓海は地獄のような甘い囁きを続ける。
「ずっと昔から恋愛感情として好きだったんだ。最初はなんで男のお前を好きになったんだとか悩んだんだぜ? だけど、高校に入ってから無理やりにでも犯して孕ませて子供作って逃げ道なんか塞いでやりたいって思うようになって吹っ切れたんだ」
「そんな……拓海……俺は……知らない」
「当たり前だろ? 知られないように隠してたんだよ」
声が自然と震えていく、薄暗い中でもわかる親友の見慣れた笑顔を初めて怖いと思った。
拓海は、俺の頬を撫でると、俺の後ろに回り抱きしめてきた。言い知れぬ恐怖が俺をジワジワと浸食していく。
「そんな顔しなくても何もしねぇよ。今は……な?」
拓海が、意味深な事を言いながら、俺の視界を手で塞ぐと、視界は暗闇に支配された。何も見えない事がこんなに不安で堪らないなんて思いもしなかった。
ただ、今わかるのは甘く優しい声と暖かい手の温もり……そしてねっとりと絡みついて離さないとでも言うような暗闇だけだった。
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