アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お母さん
-
「同じ事を何度言わせれば気が済むのよ!!」
怒鳴り声。
お母さんが、怒っている。
学校で描いた僕の絵を持って、僕を殴る。
ごめんなさい、と謝ろうとしたのにお腹を蹴られて謝れなかった。
もう吐いても胃液しか出ない。
喉が焼けるように痛い。
体中が痛い。
「なんでアンタが描く私の絵は全部顔が真っ黒なの! そんなに私が嫌い!? だったら直接言いなさいよ、こんな嫌がらせみたいなことしないで! 私がコレのせいでどれだけ恥をかいたかわかる!?」
「ご、ごめ……ぁぐ…っ……ぃ…た……っ」
怒鳴りながら、お母さんは僕を蹴る。
ありったけの力で。
ごめんなさい、お母さん。
でも、でもね、お母さん。
どうしても、お顔がわからないんだ。
お母さんだけじゃない。
お父さんも、先生も、お友達も、
みんなのお顔がわからないんだ。
みんな、お顔が真っ黒なんだ。
だから、ごめんなさい、お母さん。
それが、僕が描ける、あなたの精一杯。
「……私だって、アンタが嫌いよ。でも、それでも育ててやったんじゃない! なのにアンタは何なの?」
「ご、め……な…さ……」
お母さんが何かを持って近づいてきた。
何、それ?
お母さん、それ、何?
何を、する気なの?
「私だって……産みたくて産んだんじゃないの…」
液体の入った瓶の蓋をお母さんが開ける。
なぜだかわからないけど、逃げなきゃと思った。
あれは、あの液体は、危ない。
逃げたいのに、逃げなきゃいけないのに、体が上手く動かない。
「アンタなんて生まれてこなければ良かったのよ!!」
もう何度目になるかわからないその言葉。
その言葉と一緒に、お母さんは瓶を僕に投げつけてきた。
「ひ…っ……ぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
液体が右目にかかった。
熱い。痛い。痛い。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!
何これ何なになにナニ
お母さん、痛いよ
右目が痛い
たすけて
たすけて、お母さん
「おか…さん……たすけ」
たすけて、と手を伸ばす。
でも、その手をお母さんは踏みつけて僕を見下ろした。
お母さんは、今まで見た事がないくらい、楽しそうに笑っていた。
「あは、アハハハッ! ざまぁみろ! その目はもう2度と見えないだろうね!!」
グリグリと僕の手を踏みながらお母さんは笑った。
痛みと、悲しみと、絶望で、もうわけがわからない。
視界がだんだん霞んでいく。
僕はこのまま死ぬのだろうか。
それでも、いいや
もうどうでもいい
右目も、手も、体も、もう痛みを感じない
あぁ、死ぬって、楽だなぁ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 48