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過呼吸
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side 碧斗
仕事がひと段落し、そろそろ風呂の準備をしないといけないなと思っていた矢先。
ゴトンと、寝室から何かが落ちる音がした。
あの部屋に、落ちるものなんてそうそうない。
——真白が、ベッドから落ちた。
反射的に俺は寝室へと駆け込んでいた。
「真白、大丈夫か?」
寝室に入るや否や、俺は足を止めた。
何かが床に落ちる水音と鼻をつくような異臭。
真白は口元に手を当てたまま苦しそうに呼吸している。その手からボタボタと何かが溢れていく。
「真白、大丈夫か。落ち着け、ゆっくり呼吸しろ」
恐らく過呼吸に陥っているであろう真白の背中をさすってやろうと背中に触れた。
「はぁっ……ひっ…ぃやッ……さ、わ…ないで…ッ…!」
ぱしっと手を払われた。
だけど、あまりに弱々しい力。
手を払った真白ははっと目を見開き、頭を抱え震え出す。
「ごめ…ごめんなさい……ごめんなさい…ごめんなさい…!」
「真白、落ち着」
「やだぁ…っ…はっ…はぁっ…ごめんなさい……ごめんなさい…っ!」
あーもう。参ったなぁ……。
「真白」
「ひっ……」
ちょっと強引かなと思ったが、言葉じゃ届かないようなので真白を抱きしめてみた。
案の定真白は小さく悲鳴を上げ息を呑む。
でも、暴れない。抵抗されない。
「大丈夫。大丈夫だから。落ち着け、な?」
ええと、抱きしめたは良いがどうしよう。取り敢えず背中でもさすってやるか。
子供って確かこうすれば落ち着くよな?
てか、何だこの気持ち……。
耳元で聞こえていた真白の呼吸がだんだんと落ち着いてくる。
うん、もう大丈夫そうだ。
いつまでも抱きしめているわけにもいかないので体を離した。
まだ少し震えてはいるが、大丈夫そうだ。
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