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闇の底で(ハルトside)片想い編
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途中から、気づいていた。
抱かれれば、さすがにわかる。
長年、恋い焦がれてきた相手だ。
つながる部分の長さも、太さも、形も。
引っかかるところだって、刺激される部分だって、まるで違う。
なのに、あまりに熱く必死に求めてくるから。
拒むタイミングを見失ってしまった。
何より、この腕を跳ね除けてたら。
長い夜の底に、砕けた心を抱えたまま、独り置き去りにされてしまう……。
そう思ったら、もはや誰でもいいと縋りつく自分に、勝てなかった。
この終わりのない飢えと悲しみから救い上げてくれるのなら、誰だってかまわない。
カラカラに乾いた心に、求められる喜びが染み渡る。
リューに去られ、拒まれて。
半ば錯乱状態に陥っていた意識が、やがてゆっくりと覚醒し始める。
ルイ……?
叫びそうになる口元を、必死に押えた。
もはや反射的に身構えてしまう。
いつだって敵意に満ち満ちた瞳が怖かった。
キツく当たられるたびに身体がすくみ、ただでさえ吃りがちな言葉がよりいっそう、たどたどしく、情けないものになっていく。
こんなビクビクした自分は大嫌いだ。
かばってくれる仲間に甘えるばかりの自分にも、ほとほと愛想が尽きる。
それでも……すべてを引き換えにしても。
どうしても、リューのそばにいたかった。
唯一、自分を認め、救い上げてくれた人。
こんな自分に、温もりと居場所をくれた人。
なのに、どうしてリューの孤独を癒せるのは、自分ではないのだろう……?
何だってするのに。
必死に訴えたけれど、届かなかった。
この扉を開けなければ、おまえとはもう終わりだと激情をぶつけられ、粉々に砕け散った心。
あまりにも寒くて、幻を見た。
リューが帰ってきてくれたのだと。
仲間を含む交わりの中で、幾度か蔑むように、ルイに抱かれたことがある。
けれど、まるで別人のように熱く、やさしく、かき抱くから。
混乱して、どうしていいかわからずに、意識を飛ばした振りをした。
悲しいほど、感じた。
溺れたくて、めちゃくちゃに動いた。
すべてが終わり、つながりを解かれた瞬間、去っていく温もりに、行かないでと、もう少しで縋りそうになった。
なぜ、ルイは自分を抱いたのだろう?
あまりにも弱っていたから?
憐れで、放っておけなかった?
……きっと、そうだ。
リューの代わりに、たった一晩、抱き枕になってくれただけ。
甘えたらダメだ。
すがれるほど、近くもない。
単なる気まぐれを、やさしさだと勘違いしそうになる自分を必死に諌め、シーツにすがりつき、キツく目を閉じた。
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