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勿論、成瀬はそんな事で気を悪くはしないだろう。
寧ろ俺がどんなに頼ったって受け入れてくれるんじゃないだろうか。
そう分かってはいるものの、どうしても迷惑を掛けてしまっている気がして一言謝ると、やはり大丈夫だと笑ってくれた。
それどころか、“謝るのは僕だ”と何故かこちらが頭を下げられてしまって困惑する。
慌てて顔を上げてもらうが、その表情は幾らか曇っていた。
「ちょっと後悔してるんだ」
「後悔?」
「あの時、余計な事を言わなかった方が上手くいっていたのかも知れない」
「余計な事?」
本当に思い当たるものが無く、気が付けば眉間に皺が寄っていた。
出会って間もないが、成瀬には良くしてもらった記憶しか無いし、もし彼が居なかったら今頃、気が滅入ってしまっていたかも。
それくらい助かっている。
「噂の事。助けたい一心で君に打ち明けちゃったけど…南河君、君には優しくしてたのかもって考えると、僕がした事は正しかったのかなって」
「そんな…」
咄嗟に否定するが内心驚きでいっぱいだ。
そんな風に思わせてしまっていたなんて。
あの時未遂に終わったことも、俺を守る為に登下校を共にしてくれていることも…南河の事も。
こちらは感謝の気持ちしかないし、成瀬が責任を感じる事なんてどこにもない。
それに、あいつに優しくしてもらった事なんか……。
南河の事は俺が勝手に気にしてしまっているだけだ。
自分でも馬鹿だと思うくらいに。
成瀬同様、誰がどう見たって関わらない方がいいと言うはずだ。
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