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昼に送られてきたメールのせいで、今日は早く帰らないといけない。
だけど成瀬に何も言わずに帰るなんて出来ないし、伝言を頼める程仲のいい人も、成瀬との共通の知り合いすらもいない。
この時間になるまでに幾らでも話せる時間があったのに、本当に何やってるんだ…。
「三秋くん、もう帰れる?」
「あっ、成瀬」
今日だけで何度したか分からない反省をしていると、教室に入って来たばかりの成瀬に声を掛けられ小さく肩が跳ねた。
良かった、何時もより随分早く迎えに来てくれたようだ。
鞄を持って立ち上がり無意識に安堵するが、せっかく迎えに来てくれてるのに一緒に帰れないんだから、全然良くは無いよな、と思い返す。
「成瀬、ごめん。実は今日用事があって…その、ここまで来てくれたのに悪いんだが、一緒に帰れないんだ」
「用事?そうだったんだ」
成瀬が少し驚いた顔をした後、何時もと変わりない声色で笑ってくれる。
「もっと早く言えばよかったんだけど…本当にごめん」
「僕の事は気にしないで。それより一人で帰って大丈夫なの?途中まで送るのもダメ?」
俺が突然言い出した事に怒りもせず、こちらの心配ばかりしてくれている事に酷く心苦しく思う。
「ごめん、凄く急いでて…俺は大丈夫だから!」
「あっ、三秋くんっ」
教室から出る間際に見えた成瀬は、足早で去っていく俺を心配そうな目で追っていた。
せっかく気にかけてくれているけど、成瀬とあの人が鉢合わせになってしまうかも知れないし…やはり途中までとはいえ一緒に帰るなんて出来ない。
相手には届かないが、もう一度ごめんと小さく呟いて帰路に就いた。
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