アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2 熟れる焦燥
-
それからは大変だった。
やっぱりと言うか何と言うか、委員長はかなり酔っているようで、ふらふらとおぼつかない足取りで歩くものだから自宅に着くまで手を離す気にはなれなかった。
いや、家に居る今も引っ張ってやっている。
一人で歩けるからと一度は突き放されたが、それは拒絶なんかじゃなく気遣いだと判断出来た為、より一層きつく繋ぎ直してやった。
自惚れなんかじゃない…多分。
なんて淡い期待を抱いてしまう位に、今の委員長には警戒心や何時もの張り詰めた空気が無い。
「しっかりしろ。ほら、水」
「……ん」
気持ち悪さからか蹲るようにして動かなくなった委員長にせっせと水を飲ませる。
だが出来ることはそれくらいしか無いので、後は心配になりながらそばに居るだけだ。
風呂はどうする、眠れそうか、などと声をかけてみたり、他になにかしてやれる事は無いか模索して落ち着かない俺を見て、不意に委員長の口元が緩んだ。
「南河、心配症なのか?」
「………お前が頼りないからだ」
「そうか…すまない」
若干申し訳なさそうに言う委員長は、それでもさっきよりは元気そうだ。
羞恥心を抑えながら謝るな、とだけ言って水のお代わりを入れてやる。
「…なんで優しくするんだ」
机に置いたグラスには手を付けずに眺めるだけの男からは、はっきりした心情は読み取れなかった。
「別に、優しくしてるつもりは無い。」
相変わらず上手く伝えられない自分に腹が立つ。
未だ水滴を目で追う委員長は、それでも表情を変えなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
97 / 102