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引き止める間もない程迷いなく進む委員長は結局、少しも此方を見ること無く出て行ってしまった。
追い掛けるべきなのは分かっているが、追い付いた所でどう言えば良いのか、例えどんなに上手く弁明したって戻っては来ないだろう事を悟った頭は体の動きを止めてしまう。
ごちゃごちゃになった脳では正常な判断が出来なくなり、暫く唖然と玄関に立ち尽くしていた。
今起きた出来事を考えているようで出来ていない、全く働かなくなった思考を何とか現実に連れ戻すのに時間がかかる。
取り敢えず部屋に戻る為に邪魔な靴を蹴りながら進めた足は、裸足のままだったせいでざらざらしている。
それを払う気力も無いままソファーに倒れ込んだ。
「………終わった。」
何がって、全部。
始まってすらいないか、なんてし飽きた言い訳はなんの慰めにもならなかった。
微塵も眠気は無いままに目を瞑る。
絶望しながら見る暗闇は軽い恐怖さえ覚えた。
それでも今は現実から逃れたくて、付けっぱなしだった電気の明かりを腕で遮る。
何とか勝ち取った睡眠は深いようで浅くて、夢の中で委員長が笑ってる気がした。
今日過ごした時間も本当は夢だったかも知れないな、と僅かに残る意識がそう告げる程に、初めて見た委員長の笑顔は綺麗だった。
夢なんかよりずっと。
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