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「いい事?」
寺野がさっきの俺の様に聞き返す。
俺の頭には、あの夜の光景が綺麗に映し出されていた。
「あいつ、金曜の夜、女と遊んで酔ってたんだよ」
あの時は俺だけが知っている秘密に浸って居たが、今はそれを吐き出すごとに暗いものが晴れていっている。
言うなればこれは、優越感だ。
「…女?」
寺野が小さく復唱し顔をしかめる。
黒髪に隠れて見えないが、眉の間には幾つもの皺があるだろう。
その様子を見て更に気持ちよくなった。
「あいつにこの事は黙っててくれって、言われたんだけどな」
木乃がまた「あの委員長が」と、口にしている。
だが、言葉をそのまま受け取り子供の様に反応する木乃と違って、寺野は呆れた表情を見せる。
「そんな訳ない」
その声は妙に力強く、俺達以外誰もいない屋上に響いた。
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