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「……」
「………」
しかし、予想していた反応は返ってこず、また無音の中に放り込まれる。
辺りは薄暗い。
あまりの静けさに、このまま暗闇に消えて行ってしまうのではないかと不安になり、委員長の呼吸する気配に耳を澄ませる。
「…なあ委員長、今から俺の家に来れば?」
多分、今目を見開いて居るんだろうな、と勝手に推測しながら、また大根役者のように抑揚の無い声で言った。
だって、委員長、泣いてるんだろ。
見えないけど、あの日みたいに濡れた瞳で、頼りなく壁に凭れているんだろう。
“暁仁は、京君がそんな事する奴に見えるのか?”
寺野の声が響く。
わからない。
わかないけど、委員長は今この時も、誰にも知られずに泣いている。
あの日、アルコールから来るものだと決めつけていた涙が、今日はやけに痛々しく思えた。
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