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「…京君、行こう」
「わっ」
否定の言葉が出る前に寺野に引っ張られ、転げそうになりながら倉庫の出口へ向かう。
咄嗟に寺野を引き止めるが、全く聞く気がないようで振り返りさえしなかった。
力強い手から、背中から、苛立っているのが感じ取れる。
「あっあの、助かった!ありがとう」
流石にこのままでは申し訳なくて、引っ張り出される間際に男に言う。
心配そうな目でこちらを見ていたが、追いかけて来る気配は無さそうだ。
近い内にお礼が出来るだろうか
そんな事を頭の片隅で思うが何とか転けない様に足を動かすのに精一杯で、すぐに考える余裕を無くした。
「寺野、さっきのあの人の言葉は気にしないでくれ。今回の事は本当に俺の責任でっ!?」
突然止まった背中にぶつかる。
黙って足を止めるものだから、それほど怒っているのだろうかと思わず身構えてしまう。
そうなるのも仕方が無い
心配してくれた相手を無視した挙句、許してほしいだなんて厚かましいにも程がある。
自然と視線が足元へ落ちていく。
これ以上は何も言わない方がいいだろう
いや、言えない
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