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しかしそのまま上手く言いくるめられて、彼の言った通り会計は別々になってしまった。
学食なんて安すぎるくらいなのにそれすらも受け取ってもらえないなんて…
普段の俺なら無理矢理にでも払わせてもらう所だが、なんだかこの人と居ると自分のペースを見失ってしまう。
仕方が無く自分の分の昼食を買って向かいに座るが、当の本人は「珍しく空いているね」なんて呟いて、俺の困惑した態度を相変わらずの眩しい笑顔で跳ね除けてしまう。
言いたい事はわかっている筈なのにあえてそこには触れない
時々こちらに視線をやるのが、困った様子の俺を楽しんでいるように思える。
いや、多分そうに違いない。
「あの時はごめんね、僕も言い過ぎたよ。彼、気を悪くしたかな?」
「あ、いや…」
かと思えば、突然突っ込んだ事を聞いてくる。
あの時ってそりゃ、昨日の事しかない訳で…
怒って眉間に皺の寄る寺野が簡単に想像出来た。
「君が心配だったんだ。彼、よく南河君と一緒に居るでしょ」
「…………」
どう言えばいいかわからない。
男は今までと同じ様に自然に話すが、こちらは上手く応えられなかった。
周りから見たら不良、と一括りされてしまうかもしれないが、自分にとって寺野はこれ以上ない程優しい人だ。
確かに怖いと思う面も知ったばかりだが、無闇に人を傷付けたりしないはずだ。
……一応、南河も。
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