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もしかしたら、と言う淡い期待はやむなく消えてしまった。
南河は俺が酒を飲んで遊んでいた事を誰かに打ち明けただろう。
それに、根も葉もない事まで。
言わないなんて約束はしてないし、そもそもお互いを思いやる様な間柄でもない。
それまで軽蔑し合ってきた所もあるし、普通に考えれば当然の事だ。
だけど…それならどうして、二度も声を掛けてきたんだ。
どうして…あの時家に呼んだりしたんだ。
そうして黙り込んでしまう自分が嫌になる。
ああ、俺はなんで、南河の事になるとこんなに馬鹿になるんだ。
あいつと関わってしまった日から、自分がどんどん弱くなってしまっている気がして、どうしようもなく不安だ。
「ね、あの様子だと寺野君は噂の事知らないでしょう?」
そんな心情を知ってか知らずか、男は流れる様に訊ねてくる。
「多分、知らない」
それを口実に、深く考えることを止めようと軽く頭を振って返す。
寺野がもしそんな変な噂があるって知っていたら、きっとあの時の何も無かったと言う言葉も信じてくれなかっただろう。
南河の名前も出てこなかったし…多分南河を庇ってるとかじゃなくて、本当に何も知らないんだ。
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