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嵐の予感?(士郎side)
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「……ったく、せめて脱がしてからヤれよな」
前も後ろもドロドロだと、龍之介がボヤく。
中だけでイカせたせいで一度も放っていないはずなのに、濡れ方が尋常ではなかったせいで、下着どころかその上の布にまで染みてしまったようだ。
到底、履けたものではないと、すべての衣服を潔く脱ぎ落とした龍之介は、全裸になると気持ちよさそうに、一度大きく伸びをした。
綺麗に筋肉のついた身体のラインに見惚れたが、正常値でも人一倍立派なものは、一時よりは落ち着いたとはいえ、未だ緩く勃ちあがっている。
慌てて目をそらすと、
「……何紅くなってンだ」
すっかり攻めモード復活で、意地悪く嬲られた。
「……っ、紅くなど、なってないっ」
「……へェ?」
指先の爪で、つ……と熱を持つ首筋をくすぐるように撫でられると、ビクリと身体が跳ね、声が漏れそうになる。
「……感度のいいカラダは、好きだぜ?」
喉の奥で笑った。
「……よくしてやるよ。この後、たっぷりと……な」
極めつけに、細胞に染み渡る、毒のように甘い声が降ってくる。
まるで終わりのない濃密な夜の始まりを、告げるかのように。
はぁ……と深くため息をつき、手で目元を覆った。
「……いいから、少し黙れ」
「黙ったら黙ったで、物足りねェくせに」
「……っ」
「……まァ、いい。この先はさすがにベッドがなきゃ、キツイしな」
無造作に服をつかんだまま、全裸で堂々と部屋を出ようとする龍之介を、慌てて止めた。
いくら身内ばかりとはいえ、全裸で人前を歩くなど、どうかしている。
それも、明らかに欲情している姿で。
あまりに目の毒だと、手早くシャツを脱ぐと、
「せめてこれを羽織れ」
睨みつけながら、押しつけた。
「白シャツ一枚かよ。……こんなン、よけいに、エロいだろーが」
ニヤリと笑われ、視線を絡め取られたまま、シャツに腕が通された。
襟元を正す際、スン……と、これ見よがしにシャツの匂いをかがれて、声を上げそうになる。
「……っ」
「どーよ?」
珍しく、前ボタンを鎖骨の下までしっかり留めた龍之介が、軽くシャツの裾を持ち上げて、戯けて見せる。
大事な部分が見えそうで見えない丈は、たまらなく淫靡に見えた。
ようやく鎮火させたはずの胸の奥の燠火に勢いよく空気を送り込まれ、炎が大きく燃え盛るのを感じながら、目を細め唇を噛んだ。
「……だから、その目がヤベェんだって。ガマンできなくなる前に、さっさと移動すンぞ」
小さく笑った龍之介に肩を抱かれ、首筋に甘く噛みつかれた。
龍之介の手で開け放たれたドアから廊下に出たところで、折悪く、射撃場から出てきた克己達と出くわしてしまう。
「……見てンじゃねェよ」
龍之介が、笑いながら中指を突き立てた。
「は? 見せてるのはそっちだし」
顔を紅くした克己に、睨まれた。
……まったくだ。
「てか、えっ……!? まさかの、士郎さんが攻め!?」
裏返ったジェイの声が、廊下に響く。
そこまで驚かれると、さすがに不愉快だった。
そんなに自分の方が受け身に見えるのかと……実際そうなのだが、不満が募る。
龍之介がクッと笑って、頬をすり寄せてきた。
「……バカが。せっかくオトコ同士なんだから、どっちも楽しまなきゃソンだろーが。テメェもソコのチビッコに、どんどん開発してもらえよ。……惚れたヤツに組みしかれンのは、案外燃えるぜ?」
それそのものが、愛撫のような声。
「そ、そそ、そーっすねっ。いずれ考えてみるっすっ」
ジェイがたじろぎ、引きつった愛想笑いで応えた。
龍之介の色香に気圧されただけで、おそらくは何も考えてはいないのだろう。
だが、背後の翡翠の瞳がキラリと輝いたことに、自分と龍之介だけが気づいていた。
密かに嵐の予感を感じていると、
「じゃあな。……わかってるとは思うが、しばらくは滅多なことじゃ声かけンなよ?」
かけたヤツはブッ殺すと、龍之介が堂々恥ずかし気もなく、おこもり宣言をする。
「……っ」
わざわざ口に出すなと睨みつけたが、
「……ンだよ、空気読めねェバカに、途中で邪魔されてもイイのかよ? ……拷問だろーが」
欲情してギラつく黒曜石の瞳に、もはや何も言ず、黙り込んだ。
放たれる色香と白シャツ一枚の姿に当てられ、すっかり惚けたジェイ達の横をすり抜けると、龍之介はいよいよ歩く速度を速めた。
肩を抱かれている自分も自然、急ぎ足になる。
部屋までの距離が、異常に長く感じられた。
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