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欲しがれ(雪夜side)
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それから坊は少しだけ眠りに落ちたようだ。
やがて目を覚ますと手が冷たいと、やたら服の中に手を突っ込んできて困った。
他意はないと必死に自分に言い聞かせても、大好きな人にあちこち撫で回されたら、どうしたって感じてしまう。
『ひぁ……っ』
『何、変な声出してんだ』
『違……っ、やぁ……っ』
まるでお仕置きのように、胸の頂をつねられ、身体が跳ねた。
『何で、そこ……っ、ばっかり……っ』
『摘んでくれって、尖ってんのが悪ぃ』
『そんな……、ぁ……ん…っ』
乱暴にされたかと思えば、なだめるように緩くさすられ、甘い痺れが止まらない。
『も、や……っ』
『もっと、の間違いだろ?』
『ん…ぁ、ダ…メ、も、恥ずか…し……っ』
先ほど昇りつめた余韻が未だ残っている身体はひどく敏感で、このままではとんでもないことになりそうだと、坊の手をつかめば、
『あ……っ』
その手を取られ、五指すべての指の股に、坊の指先が滑り込んできた。
普段あまり触れられることのない感じやすい皮膚を撫でられて、ゾクリと肌が泡立った。
一気に背筋を快感が駆け上がっていく。
『……んとに、たまんねぇな、くそ…っ』
呆れたような、どこか怒りを秘めた声が降ってきた。
『……なぁ』
『……?』
『開発されてねぇ場所ってねぇのかよ?』
はてと、首をひねった。
『どこもかしこも敏感過ぎて、イラつく』
『……っ』
嫌われたくなくて、必死に考えた。
けれど、思いつかない。
頭皮から足の指に至るまで、何人もの男に嬲られた身体だ。
今さら暴かれていない場所など、あるはずもない。
いつだって心は置き去りのまま、感じ、感じさせるだけの器にされた。
それでも心は……心だけはいつだって坊を想っていた。
そうだ、一つだけあるじゃないか。
『心は……? 心じゃダメ、ですか……?』
あなたを想うだけで甘く痛むように震える、この心だけは。
あなたにしか拓けない。
まるで新雪に記される足跡のように、刻み込んで欲しい。
あなたを……あなただけを。
『……悪かねぇな』
坊の機嫌が直ったのを感じて、ホッとした。
『なら、もっと欲しがれ』
『もっと……?』
『よけいな遠慮、してんじゃねぇよ』
そう言われても、これ以上どうやって欲しがったらいいのかわからなかった。
もうずっと欲しがっている。
初めて出会ったあの日から、ずっと。
それでも甘えていいと言うのなら。
『……坊の顔が見たいです』
『……煌だろ。ったく、何度言わせんだ』
『あっ、こ、煌……っ』
何度呼んでもたまらなくドキドキした。
坊がチッと舌打ちする。
『……いちいちビクつくな。イジメたくなんだろーが』
それでもこっちを向けと、乱暴に拘束を解いてくれた。
そっと振り返って、伏し目がちに見つめれば、
『……っ』
それだけで胸の奥がギュッとなる。
少しパサついた硬そうな黒髪も、鋭過ぎる目元も、皮肉気に笑う薄い唇も。
すべてがこれ以上ないほどに愛しくて、宝物のように輝いて見えた。
『置いて……っ、いかないで……っ』
溢れた涙を、乱暴に拭われた。
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