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熊谷先生との昼休み
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(葵語り)
次の日から、熊谷先生とお昼ご飯を食べることになった。
本当は行くつもりはなく、無視しようかと思っていた。
熊谷先生が、自分を大切にする意味を教えてくれると言ったから知りたくなった。
本当の意味が分かったら俺も前に進める気がしたからだ。
「伊藤君、今日は暑いね。半袖着ないの?」
うちわでパタパタと扇ぎながら、熊谷先生が言った。
確かに今日は蒸し暑い。
半袖を着てこればよかったと後悔していた。
「着ますけど、朝が肌寒かったから、長袖にして失敗しました。」
「そっか。俺は半そで好きだから、明日から着てくるようにな。」
「なんのフェチですかそれ。」
「二の腕とかたまらん。」
熊谷先生が俺の二の腕を服の上から撫でた。
気持ち悪いよ。
「エロオヤジ。女子ならまだしも、俺の二の腕はがっしりです。」
「まだ28歳だ。オヤジ手前だぞ。」
「高校生から見たら立派なオヤジです。」
「ははは、ひでーな。伊藤君は。」
お弁当を食べながら、他愛のない会話を繰り返した。
熊谷先生は、ここは生徒指導室なのに窓を少し開けて煙草を吸う。
俺の冷たい目線に気付いても、悪びれもせずにふうっと煙を吐いた。
横顔がやさしかった。
そういえば、先生とはこんなふうに時間を過ごしたことなかったな。
心地の良い昼休みだった。
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