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レモンキャンディ④
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(島田真理語り)
僕の家までは、電車に乗って20分と徒歩で15分かかる。
その間、伊藤君と色々話をした。
伊藤君の下の名前は葵というらしい。
葵君って呼んでいい?と聞いたら間があったけど、いいよと了承してくれた。
素敵な名前だと思った。
葵君は上にお姉さんがいて、似合わないけどサッカー部に入っている。
ふと、さっき裏庭で覗いていたのが葵君かと思ったけど、彼は絶対そんなことしなさそうだった。
される側であっても、することはないだろう。まぁ、おいおい犯人は見つけよう。
家に着いたら、出勤前の兄ちゃんがいた。
「真理、おかえり。今日は早いね。
お友達かな?学校の友達連れてくるなんて珍しい。こんにちは。」
「同じクラスの葵君。さっ、あがって。」
「約束だから。送ったから帰る。」
そのままの流れで家に上がってくれるかと思ったが、葵君は入らずに一歩下がった。
あぁ、帰っちゃうか。
残念。これ以上引き止める理由がない。
またの機会に遊びたいな。
「葵君だっけ?お家どこ?何駅?」
会話を聞いていた兄ちゃんが口を開いた。
「◯◯駅です。」
「その線ね、車両事故で電車止まってるよ。さっきニュースでやってた。よかったらご飯食べていけば?ね、真理?」
ナイス!!ナイス兄ちゃんと電車!!
これは葵君と僕の運命じゃないのか。
まるで僕の心を神様が知っていたようだった。
「でも……。悪いし、駅で待ちます。」
「遠慮しないで、僕と宿題やって待とうよ。」
一緒に宿題やろうって、小学生か。
健全な学生のフリならいくらでもできる。
だけど、僕は今から健全なことを全くやるつもりはなかった。
葵君の体から溢れるものの正体が知りたい。
ちょっとでいいから味見させて欲しかった。
「では、少しだけ待たせてもらっていいですか?」
「どうぞどうぞ。真理、部屋に案内して。」
「はーい。葵君こっちだよ。」
やばい、にやにやが止まらない。
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