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さようなら、こんにちは①
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(熊谷先生語り)
いつもの昼休み、生徒指導室で昼食を食べている。正面に座っている葵が、俺に対して怒っているらしい。
怒り顔が可愛いので、俺にとっては目の癒しでしかないが彼は本気だ。
「熊谷先生が島田に話かけてみたらって言うから、警戒心なくしゃべりかけたら、ブツブツ。」
葵の横にはぺったりとくっついた島田真理がいた。
島田には何度か生徒指導をしたことがあるが、久しぶりに姿を見た。
「島田は何でここにいるんだ?」
「葵君と一緒にお昼ご飯を食べたくて付いてきちゃいました。まさか生徒指導室で逢引きしてるとは、熊谷先生もやりますね。葵君は僕も狙ってますから、ライバルですよ。」
「ははは、ライバルか。島田は俺に勝てるのか。」
どうやら仲良くなったらしい。
こいつは癖ありだけど、友達が増えるのはいいことだ。
葵に懐いているようだから、危害を加えないだろう。
「勝てますよ。だって、昨日、葵君と一緒に抜きあっ、ゴファっっ。」
「よ、余計なことを言わないで。島田は黙ってろ。」
島田は葵に思いっきりげんこつをされた。
華奢な腕とはいえ、男の全力は痛そうだ。
「いったぁーい、熊谷先生、葵君と僕って美少年カップルみたいで萌えません?」
確かに、見た目は綺麗だから見えなくもない。
だが、妬けるから認めるのも癪だった。
「全く萌えない。」
「とにかく、僕も色々人気者の身なんで周りに牽制です。」
こいつの発想がよくわからん。
ホモカップルを公言するとリスクも多いんじゃないのか。
島田は葵の腕にしがみついて、すりすりと頬を寄せていた。
「葵君……好き。」
「触んなっ、島田。」
何かにつけて触ってくる島田に葵がキレていた。
はいはい、仲良くね。
嫌がられても葵を触れる島田が羨ましくもあった。
そんな俺の心内に気付いているのか、島田がちらりと俺を見てから、にやりと口端を上げた。
最近葵からは猪俣の気配が感じられない。
どういう関係を続けているのか、聞きたいけど聞く勇気がなかった。
生徒に『好き』と告白しておいて、返事を待つのも気が引ける。
かといって葵に対する気持ちが大きすぎて、無いことにするのは無理だった。
時が来たら聞いてみよう、と思った。
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