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しりとりの続き⑥
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(葵語り)
「ねぇ、葵。」
展望台で山を見ていたら、熊谷先生が言った。
隅の方なので、人気はない。
相変わらず右手はポケットの中にある。
「夏休み前、俺は葵のことが好きって言ったことを覚えてる?」
覚えてるも何も忘れたことはない。
好きって言われてことにすごくドキドキした。
俺は赤くなりながら、頷いた。
「今もその気持ちは変わってないから。」
「……………」
ポケットの中の手をきゅっと握り、俺はその次に来る言葉を待った。
「俺は葵が好きだから、一緒に居たいし恋人になりたい。」
ああまた、ストレートに言われた。
甘すぎるお菓子を食べたみたいに目眩がする。
「だから、葵の気持ちを聞かせてほしい。」
熊谷先生が、こっちをじぃと見つめてきた。
あんまり見ないでほしいんだけど、恥ずかしくて顔が上げれない。
実は、ドライブに誘われた時、告白の返事を聞かせて欲しいって言われるんじゃないかと思ってた。
うまく伝わるか分からないけど、気持ちを伝えたい。
「あの……」
「うん?」
熊谷先生がこっちを見てくる。
「恥ずかしいので、あんまり見ないでくれますか。」
「なんで?大事なことは、目を見てはなさないとダメだよ。」
絶対分かってやっている所が意地悪だ。
山の冷たい空気が火照る顔を冷やしてくれるが間に合わない。すぐ熱くなってしまう。
「葵、まだ?」
心の準備が追い付かないよ。
深呼吸をして、気持ちを整える。
意を決して言葉を紡ぎだした。
「…………あの…………僕も熊谷先生が好きで…うわぁ。」
突然、ぐいと手を引張られて、熊谷先生の腕の中にふんわりと包まれた。
すっぽり腕の中に入ってしまう。
さっき、抱きしめないって言ってた気がしたけど、いいのだろうか。
「今のことは本当?」
「うん。本当。」
まだ途中なんだけども先生は聞く気が無いようだった。
先生の腕の中はあったかい。
こんなに喜んでくれるのであれば、もっと早く伝えておけば良かったと少し後悔した。
「好き?」
「好きです。」
「好き?」
「好き。」
「好き?」
しつこい。だから好きっていってるでしょう、と思った。
咄嗟にいい考えが浮かんだので口に出してみる。
「うん。熊谷祐樹が大好き。」
「………………………。」
ようやく黙った先生の顔を腕の中から見上げると真っ赤だった。
「名前呼ぶなんて葵は反則だよ。」
えへへ、さっきのお返し。
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