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しりとりの続き⑧
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(葵語り)
胃の中を空にしたらスッキリした。
俺の中のモヤモヤはまだあるけど、体は大丈夫だと思う。
俺が落ち着くまで山道の路肩で休憩することになった。
午後の日差しが降り注いで、気持ちいい秋晴れだ。
「あの……熊谷先生……。」
「まだ気持ち悪い?何かあったか。」
「………いえ、やっぱいいです……。」
まだ聞く勇気がない。
聞いたら受け入れる覚悟もない。
「はぁ?言いかけたら気になる。言って。」
やっぱりそうなる。
気になるのは人間の性だ。
「なんでもないです。」
「絶対なんかある。言って。」
「なんでもないですってば。」
「いーや、絶対なにかある。」
やばいな。
言いたくないし、言えない。
先生は引く気がなさそうだし、うーん。
何か別のことで気を逸らせば忘れてくれるかもしれない。
今の会話の流れとは全く違うことをすれば、気にならなくなるかな。
咄嗟に出た言葉は、
「しっしりとり しません?」
だった。
先生は、呆れた顔をしてため息をついた。
「しりとり……これがやりたかったのか?」
そうです、と言わんばかりに俺は頷いた。
お願い、さっきのことは忘れて。
俺の顔を見て、先生は少し考えていた。
「じゃあ、葵が言い出しっぺだから葵から。」
もしかして、怪しいけど納得してくれたのかな。慌てて単語を考える。
「リス」俺
「スイカ」先生
「カカシ」俺
「しまだのアホ」先生
しまだのアホって、笑った。
熊谷先生が、あいつはアホだろって。
まぁ、アホだけど、エロアホだな。
うーんと次は、『ほ』からだから、
「ほし」俺
「シャツ」先生
「つくえ」俺
ちょっと待ってと、先生は車に煙草を取りに行った。
さっきまでは隣に座ってたのに、戻ってきて俺の前に座った。
「エロいことがしたい」先生
ん?今なんて言った?
「しりとりだから、葵は『い』だよ。」
先生がにやにやしながら言った。
いつもの意地悪だ。
「いぬ」俺
「ぬりえ」先生
「えいが」俺
「かわいい あおい」先生
「…………」
「早く、次は『い』」
「いかだ」俺
「だいすき」先生
「きんもくせい」俺
「いいかげん言いたかったこと教えて」先生
「手巻き寿司」俺
「シカトですか」先生
「かき」俺
「キスしちゃうよ」先生
また、そんなこと言う。
言われると期待してしまう。
俺だって男だし。
好きな人とキスしたいって思うんだよ。
先生は、そんなこと考えてないでしょ。
「よろこんで。」
しりとりは続かなかった。
かわりに、甘いキスをもらった。
煙草の苦い味がする、恋人としての初めてのキスをした。
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