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葵のやりたいこと2
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(葵語り)
土曜日は、よく晴れた。
先週お邪魔したので家の場所もだいたいわかる。
先生に一人で行くから大丈夫と伝えて、駅から歩くことにした。
12月に入ってから一気に寒くなった。
ぐるぐる巻きした青色のマフラーに深く潜り込む。
気に入って買ったスカイブルーのマフラー。
葵だけに青色、と姉ちゃんに爆笑されてタンスの奥に押し込んでいたけど、久々にひっぱり出して着けてみた。
あそこのコンビニを曲がって、そして、パン屋の角を…………あれ?
見覚えのない大通りに出た。
車が沢山行き交っている。
見たことない風景…………道に迷ったかも。
もうちょっと行ったら見たことのある建物が見えるかもしれない。
歩いたけど、見慣れない風景が続いているだけだった。
先生に相談だ。と思ったら携帯が鳴った。
「今どこにいる?乗る予定の電車だったらもう家に着いてるはずだけど。」
「あのー。道に迷いました。」
「迷子かい。そんな気は薄々してた。迎えに行くからそこから動くな。」
「はい。」
目に付く建物や看板、地名を聞かれて電話は切れた。
あとは先生を待つのみ。
浮かれてたんだろうな、俺。
熊谷先生が優しくて、幸せで、好きで。
早く会いたかったのにな。
寒いなぁ。
10分程道のすみっこで座って待っていたら、先生が来た。
「全く反対方向だし。どこから間違えたのか聞きたい。」
と笑いながら言われた。
会いたかった。俺の先生。
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