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葵のやりたいこと4
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(葵語り)
台所に並んで、野菜を切った。
包丁は1本しかないので、俺が切るのを除きこんで見られてた。
「うまいね。家でやってるの?」
「うちは親が共働きなんで、時々作るんです。」
手が疲れる大根おろしは先生にやってもらった。確かに一本近くすりおろすのは、 見ててもハードそうだ。
「しんどくないですか?」
「楽そうに見える?」
「見えません。先生、頑張って〜。」
「わざとらしくて、むかつく。」
ごりごりとすりおろしながら、
「二人で居るときは、『先生』って呼ぶの止めない?呼ばれると先生スイッチが入って落ち着かない。」
と言った。
それもそうだな、と思った。
俺は先生って呼ぶの好きだけど。
「何て呼べばいいですか。祐樹くん、祐ちゃん、祐やん、とか?。」
「その候補は、いや。」
「では、祐さんは?」
「佑さん…………『さん』は嫌だ。」
ごりごりごりごりごりごり。
まだ大根おろしは終わらない。
「年上だし、さん付けが普通だと思うけど、嫌なんですか。」
「葵から『さん』付けで呼ばれるのがいや。 だったら『くん』にして。佑くんがいい。うん、佑くんって呼んで。」
嫌や嫌やばっかだな。
妙なこだわりがあるらしい。
佑くんって、呼べるのかな…………。
佑くんか……。
呼ぶこっちが恥ずかしい。
「葵、そこのお皿取って。」
「…………佑くん、どうぞ。」
「ふはははは、佑くんって呼ばれるの、いいわぁー。もっかい呼んで。ほらほらっ。」
遊ばれてるよな。これ。
あんまり笑うからしばらく呼ぶのを控えようと心の中で思った。
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