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海とドライブ3
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(葵語り)
海から先生の実家は15分ぐらいで着いた。
海辺の静かな町で閑散としている。
「ちょっと待ってて。」
先生が家に入っていった。
いくらなんでも、見る人が見たら生徒だと一目瞭然の俺は先生の実家に入る勇気はない。
休みの日に先生と一緒に居る生徒なんて、常識ではありえない。
男だから言い訳はできるだろうけど。
少しして、先生が来た。
「お待たせ。入っていいよ。」
「えっ?」
「両親は出かけていなかったから。居るのは弟だけだし。葵が気にしなければ、だけど。」
はい、お邪魔します。
玄関を入ると、猫がお出迎えしてくれた。
白と黒のブチ模様で、名前はハナちゃんと言うらしい。
ハナちゃんは、体を摺り寄せて甘えてきた。
かわいい。
なでなでモフモフをしたい。
「こんにちは。」
先生によく似た男の人が出てきた。
髪の毛がくせ毛なところとか、ちょっと猫背なところとか、ちょっとタレ目のところとか似てる。
弟さん……かな。
「弟の和樹。」
「こんにちは。えーっと……伊藤葵です。」
どう自己紹介したらいいんだ……。
生徒とも、恋人とも面と向かって言えない。
「伊藤君は、兄貴の生徒さん?」
それにしか見えないと思う。
「ああ。生徒だけど。」
「そう。よろしくね、伊藤君。」
和樹さんは……弟が和樹『さん』で、兄が佑『くん』ってどうなんだろ。
まぁ、いいや。
和樹さんは、にっこり笑った。
笑うと目がなくなるところも似てる。
先生の方がかっこいいけどね。
「荷物は兄貴の部屋にあるから。」
「わかった。葵、行くよ。」
先生の部屋は二階にあった。
ベッドと机と本棚があって、後はがらんとしていた。
何個かダンボールが置いてある。
「白いのは持って帰るやつ。他のは要るか要らないかを断捨離するから、手伝って。」
「白いのは何が入ってるの?」
「それは、内緒。おいおい教えてあげるから。」
なんだそれ。
気にしない、気にしない。
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